乃木坂小説風「女坂」♯3 | こちら乃木坂の場末

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乃木坂46(のぎざかフォーティーシックス)に関するラクガキや個人的思想、
そして勝手に妄想ラノベとか書くかもしれません。
楽しく接してくれないと、オコだぞ!w


3

「お前ら全員血祭りだ。祭りだけに」
笑み一つ浮かべる事なく永さんは言った。
「彼奴ら終わったな。永さんを【らりんモード】にしちまった」
体育館の入り口で【らりん一家】が騒ぎ立てる。
「上等だよテメー。タイマンでケリつけてやんよ!」
まいちゅんが吼えた。
「わ~~!  まいちゅん待て待て。折角だから、こちらは皆んなでやらせて貰おう?  な?  祭りだけに?」
純奈がキレたまいちゅんをなだめようとする。
「おい、まいちゅん。キレてんのはお前だけじゃねーぞ」
拳をパキパキ鳴らしながらみり愛もまいちゅんの横に出る。
「私も雑用係は御免被りたい・・・」絢音も【らりん】との距離を測る。
「バカ野郎!  先ずはウチからやらせろ!」とまいちゅんが二人に怒鳴る。
「あ~?  先ずは、お前からやってやろうか?」とみり愛がまいちゅんにメンチを切る。
「わ~~!  仲間割れしてる場合か~?」らりんとチーム2期生の間に入る純奈。
とその刹那、《ぐっ!》と呻き声を上げて横に飛んで行ったのは純奈。
「「「!!!」」」

純奈が飛んで消えた跡に居たのは当然らりんである。
「お前らに付き合う気はない。おしゃべりしてる間に血祭りだ」
「じゅ、純奈っ!!」
まいちゅんが純奈に駆け寄ろうと身体を翻した瞬間。
届かないと思っていた“突き”が、完全にまいちゅんの喉を捉えていた。
『やられたっ!』と思った瞬間、まいちゅんの襟足が物凄い力で引っ張られた。
瞬間首が締まり、逆に昇天しかけたまいちゅん。
襟足を握ってたのは日奈子。
「危うく殺られるところだったな?」
「お前にな!・・・でも、た、助かった。サンキュ・・・ゲホっゲホっ!」
「え~~?  日奈子聞こえな~い! もっと大っきい声で~~!」
「こぉの怪力バカが~~!」
(でもお陰で少し冷静になれた)とまいちゅんは思った。
「コイツ武器持ってるぞ!」叫んだのはみり愛。
いつの間にからりんの両手には左右一本ずつ棒状のものが握られていた。
「暗器か・・・」
「た、太鼓のバチだ・・・!  祭りだけに!」叫んだのはねる。
「卑怯とか言うなよ?  こっちは四対一だ」
「言わねーよ。ちょっと棒持った位で強気になんなよ?」立ち上がりながらまいちゅんは言った。
(竹刀や木刀じゃねーんだ。あたしの蹴りなら届く!  ・・・ん?  四人?)
「ただ棒持ってるだけと思ってな」そう言うとらりんはニヒルに笑う。
そうして構えようと一歩踏み出したその時だった。
「あっ!  永さん後ろっ!」らりん一家の誰かが叫んだ時には遅かった。
がしっ!!
らりんは羽交締めにされた。
背後に居たのは伊織。
「えっへっへ~。秘技存在隠し~~☆」
(通りで会話に出て来なかった訳だ)
「よくやった伊織!」
「どおすんだ?  五対一だけど~~?」
「いや。一人死んだから四対一」
「・・・勝手に殺すなっー!!」と純奈も脇腹を抑えながらヨロヨロと立ち上がる。
「ほらほら。お仲間呼んじゃう?  それともウチらの雑用係になるかぁ~?」
「お前らって、雑魚キャラ決定」
らりんはそう言うとバチをスッと滑らせ、小指側に出した。
次の瞬間、自分の両脇腹に差し込んだ。
同時に「ぐ、えっ!」とくの字に倒れたのは伊織。
無防備な腹に二本のバチが突き刺さったのだからたまったものではない。
「このっ!」
まいちゅんは動いていた。
らりんの延髄目掛けて回し蹴りを敢行した。
(入った!)
その刹那、宙を舞ったのはまいちゅんだった。
「なっ!?」
グルンと世界が回り、まいちゅんはパイプ椅子の海に落ちていた。
ドンガラガッシャーン!
「「まいちゅんっ!」」
みり愛と日奈子が叫ぶ。
「こ、この人・・・」絢音が呟いた。
「ふふふ。ウチはただ棒振り回してる訳じゃない。ウチのはカリって言う武術のドブレ・バストン(双短棍術)だ」
「急に解説始めやがって、もう勝ったつもりか?」みり愛がボクシングの様なファイティングポーズをとる。
「カリ・・・。片方で勢いをいなし、もう一方で相手の重心を崩しながら、相手の力を利用して回転力に・・・」と言いながら、ねるは真似ているのか変なポーズをしていた。
(何やってんだあいつ?)と純奈は横目でチラリと見たが、いかんそれどころではないとらりんに向き直った。
未だまいちゅんは“海”から起き上がって来ない。
「おーし。絢音、日奈子。お望み通り同時に行くぞ」

壇上で事態を静思していた校長に教頭が近付く。
「校長。見せしめには丁度良い機会なのでは?」
「会の進行と少し変わってしまいましたが・・・」
と、校長は舞台袖に目をやる。
その奥に潜んで居た影は頷く。

(同時に突っ込むと言ったから、てっきり棒を振り回して来るかと思ったら、微動だにしねーな~)と思うみり愛。
「行くぞっ!」
みり愛が正面から、日奈子は右斜め、絢音は左斜めから。
(一気に近付いてあたしの間合いに持ち込む!)
しかし、疾風が如く動いたのはらりんだった。
みり愛にピタリと身体を近付けて来たのである。
「なっ!?」
みり愛は一瞬動きが止まる。いや、止められたのだ。
絢音は素早く踵を返してらりんの後頭部に手刀を見舞う。
だが、その手刀が捉えたのはみり愛だった。
(消えた!?)
「馬鹿っ!  後ろだ絢音!!」
絢音の手刀をガードしながらみり愛は叫んだ。
「えっ!?」
「ふふ、あんたの方がそのおチビちゃんより柔らかい動きしてるよ・・・人間太鼓—連—」
ドドドドドドドド!
絢音の背中に激痛が走る。
「うがっ!」「あ、絢音って、おい!」
絢音がみり愛に倒れ掛かる。
「ヒナコアタッ~ク!」
猛然と走り込んで来る日奈子。
姿勢を低くして突っ込んで来る。
(タックルか?)
らりんは地を蹴り、そして日奈子の背に足を掛け更に飛んだ。
「横の動きは、上からの力に弱い」
そう言うや否や、らりんはガラ空きになった日奈子の背中に全体重を乗せてバチを振り下ろした。
「ぎゃんっ!」
前のめりに倒れる日奈子。
「このっ!」絢音の下から抜け出したみり愛は、らりんの顔面目掛けて右ストレートを繰り出した。
ゴリっ!
鈍い音がして苦痛に顔を歪めたのはみり愛だった。
「拳割り・・・」
そしてゆっくりとみり愛に近付くと後頭部に蹴りを繰り出した。
まるで糸の切れた操り人形の様にみり愛は前のめりに倒れた。
「さて・・・残るは一人かな~?」
と純奈に近付いて来るらりん。
「あっ、あの永さん。私もう、あばらいっちゃってて~」と脇腹を押さえながら純奈は言う。
「お前の血を持って祭りは終わる」
「ひ~!  そんな事言わないで、お許しを~~!」とらりんに土下座する純奈。
「醜い奴・・・」
すると純奈は、らりんの両足にしがみ付く。
「今だ!  まいちゅんっ!」と叫んだ。
「!?」
「おらぁ~!  伝家の宝刀ネリチャギだ~~!」
まいちゅんはパイプ椅子の海から突如飛び出し、艶かしい右足を高々と振り上げた。
踵落としを狙うまいちゅん。
しかしその踵が振り下ろされる事は無かった。
らりんのクロスされたバチが完全にアキレス腱をホールドしていたからである。
「大した奇襲でも無かったな?」
そう言うとらりんは更にバチを押し込む。
バランスを崩したまいちゅんが尻もちをつく。
そのままバチを純奈の背中に渾身の力で振り下ろす。
「そこまで」
カチリと軽い音がして、バチは純奈の背中の前で止まった。
純奈はすかさず、らりんの足元から這って出た。
驚いたのはらりんであった。
(あたしの渾身のバチを止めやがった!)
その二本のバチを受け止めているのは、細い棒—ドラムスティックだった。
「ちょっとはしゃぎ過ぎだぞ。祭りだけに」
「何邪魔してくれてんだよ・・・」
らりんはジロリと“棒”の持ち主を睨んだ。






おしまい


様子を見てみようと思います。僕の。