乃木坂小説風「女坂」♯2 | こちら乃木坂の場末

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乃木坂46(のぎざかフォーティーシックス)に関するラクガキや個人的思想、
そして勝手に妄想ラノベとか書くかもしれません。
楽しく接してくれないと、オコだぞ!w

2

キーン・・・・・・・・・
「皆さん一度落ち着いて、御着席されてはいかがですかな?」
とマイクを通しているとは思えない小さな声で校長は言った。
「だからうっせーんだよー!  黙ってろ、この外野!」
振り向きざまにメンチをきりながら叫んだのは、またしてもみり愛。

その時だ。
体育館の入り口にドタドタと足音が雪崩れ込んできた。
「ん? 誰だあいつら?」視力が悪いかの様に目細めて眉間に皺を寄せながら日奈子が入り口に視線を飛ばした。
もちろんチーム2期生全員の視界はそこに在った。
「「げっ!?」」
とユニゾンしたのはまいちゅんと純奈。

入り口に集まった集団は皆が皆「法被」を着ていた。
「な、何であいつ等こんなとこに・・・」
まいちゅんは口の渇きを覚えていた。さっき飲んだ納豆スムージーのせいだけではなかった。
「わぁ~。お祭りの出し物ですかぁ~?         最高かよ!」
と言ったねるに対して即座に反応したのは絢音。
「かよって、男みたいな口調だな。はしたないぞ?」
「だから、お前はどこ目線なんだっつーの?」とツッコミ役のまいちゅん。
すると法被軍団が【モーセの十戒】が如く、さぁ~っと左右に分かれた。
その中央から1人の人物が躍り出る。
祭りなだけに。
その人物は入り口から体育館の床まで歩み出ると腕組みをし、満面の笑みを浮かべながら、まるで値踏みするかの様に館内を見渡す。
「永さん。先客が居るみたいです」 
「だね~~」

「・・・ら、らりん一家【仏の永さん】・・・」
「2年で急に頭角を現したって奴か?」
「でもらりん一家ってあいつのワンマングループだろ?」
「あいつ一人だけならウチらでヤレるのに・・・」
「こんな晴れやかな舞台でケンカは良くないぞ?」
「だっからお前は、誰目線・・・」
「ハロー?  算段はまとまった~?」
チーム2期生の面々はその声の主を見て一瞬時が止まった。
いつの間にか自分達の円陣の中に「永さん」がにこやかに笑いながら首を突っ込んでいたからである。
「な、永さんっ!?」声を上げる純奈。
「あー、らりんでも良いよ~。皆んなそう呼んだりもするから~」
「ちっ!  いつの間に囲まれたんだっ?」
とみり愛が周りを見渡すと、
「ダレモイナイ・・・」
らりんだけ。
“その他大勢”は、昇降口から一歩も動いていない。
「ウチ一人だけなら、やれるんだって~?」
ただでさえ笑みで細い目が、更に力強く細まる。
「あ、い、いえ、やーれる? そう、今日もはーれるなって!」何故か取り繕うまいちゅん。
「許す 」
「「「えっ?」」」
永さんの言葉に「2期生」の何人かが、いやほぼ全員が虚を突かれた。
「ウチ一人だけなら、あんたらで倒せると言った暴言を許す」
「あー?  お前頭ラリってんのかぁ~?  らりんだけに?」みり愛が食ってかかる。
「その暴言と下らん駄洒落も許す」
「止めとけ、そいつに手を出したら、彼奴ら全員相手にする事になっぞ!」とまいちゅんが目で制す。
「え?  彼奴らは手出さないよ。つか、その子が期待の新人?」
「え?  あ、長濱ねると申します~」
「お、御丁寧。もしかして、そのメガネを取ったら強くなる系?  あ、つか、あんたも“ながさん”じゃん」
「え、いやいや、何でお仲間は手をださないんですかぁ~?」恐る恐る聞いたのは純奈。
「よし。じゃあ、今日からねるさんはウチに入りな」
(なっ!  スカウトかよ!)とまいちゅんは思った。
「いやいや、こいつウチの後輩なんですけど、ただのガリ勉ですよ?」
口から出任せを言いながら、まいちゅんはねると肩を組んで見せる。
戸惑いながらねるがまいちゅんの顔を見る。
「あの~何でお仲間は~~?」
「あー、お前らウチを出し抜こうとしてるな?  あと、彼奴らはウチがあんたらに負けない事知ってるからね」
「いやいやいやいや、見て下さいよ。この腑抜けた顔!」
まいちゅんがねるをヘッドロックしながら戯れてみせた。
「ひどっ!」流石のねるも物申す。
「よし!  じゃあ分かった。あんたら全員ウチに入りな。雑用係が欲しかったしさ」
「あ~~っ?」みり愛が吠えた。
「何がなんでも、ちょっとウチらの事舐め過ぎじゃありませんか?」まいちゅんの目付きが変わる。
「日奈子ーっ、頭にキタノ~~!」と叫びながら日奈子の正拳が永さんの顔面を捉える。
バシッ!
一瞬入り口で控えるらりん一家が騒つく。
しかしそれも一瞬の事。
永さんは片手でそれを制していたからである。
「ぐっ、こいつぅ~」
唸ったのは日奈子。
満面の笑みを湛え永さんは言う
「この無礼も許す」
と、その刹那。
永さんが2期生円陣からポンっと弾き出された。
永さんの腹にまいちゅんが蹴りを見舞ったからである。
「ごっめ~~ん。足が長くってさぁ。許してちょんまげ」
「あー、まいちゅんがキレちまった~。おいメガネ、離れてろ!」
「は、はい~~」
ねるは純奈に引き離される。

自分の腹をパンパンと払う永さんは、笑顔のまま、腕を顔の前でクロスさせた。
「何してんだコイツ?」
拳が解放された日奈子が首を傾げる。
「仏の顔も三度まで・・・」
クロスさせた腕が永さんの顔前をゆっくりと通り抜けた後に有ったのは、先程までの笑顔が嘘の様な鋭い眼光を放つ永さんだった。
「お前ら。血祭りだ・・・」
祭りだけに。



おしまい

続いてしまったのかよ!