まい太郎、なぁ太郎はそこそこいい歳になってました
じいさん、ばあさんの思わく通りに
【良い労働力】になり下がっていました
「ふ~、なぁ太郎。そろそろ昼にすっか?」
未開の地を開墾していたまい太郎は
振り下ろしていたクワを休めて言いました
「あー! にぃさーん! この石コロだけ良い?」
そう言ったなぁ太郎の前にあったのは
身の丈をゆうに超えている大岩でした
「良いよー。こっち放ってー」
「はーい」
なぁ太郎は両手を広げて大岩をつかむと
よいしょ~と持ち上げました
「魔球、寸止め☆」
と、
大岩をまい太郎に向かって投げつけました
まい太郎はクワを振りかぶると大岩を打ちました
「かっきーん!」
大岩はまるでソフトボールかの様に空のかなたへ消えていきました
そして
おにぎりを食べながら、まい太郎はなぁ太郎に言いました
「ねぇ、なぁ太郎。最近鬼が近くで暴れてるって聞くね」
「あー、鬼ヶ島ってところから来てるらしいね」
「村々から金品を巻き上げてるらしいよ」
「ん~。それってつまり~」
「毎日同じ事の繰り返しに飽きてきたじゃん?」
「そっかぁ、ヒマもつぶせて、楽してたくさん稼げるね」
「じい様、ばあ様は守銭奴だからきっとOKって言うよ」
「そうだね。銭ゲバだから、行けって言うね」
そう言うと二人の桃太郎は
とっとと仕事を放り投げて家に帰りました
それを聞いたかずみばあさんは、
アメージングからの良いとこ~!
とすぐに了解しました
キャップじいさんはよろこんで
きびだんごを手作りしました
翌朝
二人の桃太郎は鬼ヶ島を目指して出発しました
しばらく歩くと
突然犬に話しかけられました
「桃太郎さん。桃太郎さん。お腰に付けたきびだんご、一つ私に下さいな」
二人は顔を見合わせました
「なんで犬話してるの?」
「つか、なんでウチらの名前と袋の中身知ってんの?」
犬は聖母の様な笑みを浮かべると言いました
「おとぎ話だから進行のさまたげになる様な不毛なやりとりは不要だワン」
「なぁ太郎。この犬、只者じゃないね?」
「そうだね。ねぇ、お犬さん。あなたお名前は?」
「まいまいと言います。私を連れていってくれれば、きっとお役に立ちますワン」
そして桃太郎達は、まいまいにきびだんごを一つあげました
まいまいはよろこび、狼の様な遠ぼえをしました
まいまいを旅のお供に加え
桃太郎達は、また歩き出しました
山の峠道で【道の駅】を発見しました
「あー! にーさん。おいら、ホットドッグが食べたい!」
「あー、ちょっとよってこうか?」
「ワンワン! 私はアメリカンドッグ食べたいですワン」
(この子、犬なのに【ドッグ】を食べたいのか)
とまい太郎は思いましたが
発言する程ではないとジチョウしました
一行はベンチに腰かけて、B級グルメをタンノウし始めました
すると
茂みの奥から一行の様子をうかがう影がありました
【ぼうけんのしょにきろくします】
なぼな。