質の良い睡眠を助ける栄養素

『三石巌全業績27 講演集I』より

実は私は、最近までほとんど夢を見なかったんです。つまりパラ睡眠の時間が少なかったんです。私は、去年の12月に80歳になりました。80歳にもなると、夢なんか見ませんから。パラ睡眠が短くなりますから。ところが今は、夢を見るようになったんですよ。

それは肉をたくさん食べたのかというと、肉は前々からたくさん食べていましたから、それだけではなくて、セレンなんです。セレンはセレニウムとも言いますけれども、このセレンを去年の6月頃からでしょうか、やってみました。そうしたら、夢を見るようになったんです。つまりセレンが睡眠の型を正常化した。パラ睡眠の時間を長くしたという訳です。

それはどうしたことかと言いますと、私たちのからだの中に含硫アミノ酸があります。硫は字の通り硫黄です。硫黄があるアミノ酸ということですね。この含硫アミノ酸の硫黄の位置にセレンを入れ換えることができます。私どもがセレンを口に入れますと、含硫アミノ酸の硫黄のところがセレンに置き換わります。そうすると、この働きが向上する。これを活性といいます。含硫アミノ酸が、含セレンアミノ酸になりますと活性が高くなるんです。アミノ酸というのはご存知の通り、酵素の中にありますから、酵素の活性が高くなるのだと考えていただいていいんです。そのことによって睡眠が正常化されるということが起きたんだと、私は解釈している訳です。

そうしますと、お医者さんから催眠薬をもらった人が、それでよく眠れたかも知れないけれども、睡眠の型はどうだったのかということを考えなければなりません。本当の眠りだったのかどうかということですね。

本当の眠りというのは、オーソ睡眠とパラ睡眠とが半々、あるいは3対1ぐらいなんです。脳の眠っている時間と、からだが眠っている時間がちゃんとなければいけない。

ところが、催眠薬で眠った時は、パラ睡眠が短くなったりする。催眠薬の種類によっては、バラ睡眠が全然起きませんから、それではダメなんですよ。それでは寝起きが悪いということになってしまいます。

寝たことは寝たんだけれど、それはダメだった、とすると、催眠薬をお医者さんがくれたということは、本当のことをやったことになりませんね。つまり、本当の睡眠の型の眠りを与えたことにならないとすれば、勝手なことをやったといいますか、眠りさえすればいいんだろうという、かなり無責任なことをしたことになるのではないでしょうか。

そうしますと、今私がお話したようなこと、含硫アミノ酸が動物性タンパクに多いとか、それがパラ睡眠というものを与えて眠りを正常化するとか、そういうことを私が考えるのは、新しい栄養学によっているのかというと、そうではありません。

睡眠のことを知っているから、それが分かっただけのことで、別に新しい栄養学を応用した訳でもなんでもない。

それは栄養学でもなんでもなくて、ただの理論だと思うんですよ。そうして、そういう風に考えていかなければいけないんだと、私は思う訳です。

そうすると、例えば、自然食の方に敵意を持つ必要はないんですけれども、自然食で肉なんか食べないと、やっぱりパラ睡眠は減ってくる訳ですよ。短くなってきて、つまり老年型並みになってくるんです。年をとるほど、パラ睡眠の時間が縮んでくるんですから。

そうすると、それは眠ったといっても、若い人の本当の眠りよりも、質が落ちている訳ですね。それをどうやって取り返すか、どうやって食物で取り返すか、食物で取り返す方法があるかどうかというようなことを、私は考えている訳です。

それは別に新しい栄養学といえるほどのものではなくて、ごくごく初歩的なことだと、私は考えている訳ですけれども。

今お話しましたように、睡眠というものが、オーソ睡眠とパラ睡眠とが、あるいはレム睡眠とが交互に繰り返されているということ、そのワンセットが、だいたい1時間半ぐらいであること、年をとると、その睡眠が減るから、セットの時間が縮んでくる訳で、4回繰り返しても5時間足らずにしかなりません。

若い時には6時間だったのを、4時間ほどで目が覚めてしまう。そういうようなことを、年をとったんだから当然だという風に受けるのか、もっとどうにかしたいと考えるのか、それはやっぱり健康に対する考えの別れ目であるし、私が皆さんにお話する一つの態度、基本的態度でもある訳です。

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Lトリプトファン→5HTP→セロトニン→メラトニン
ナイアシン

プロテイン、ナイアシンアミド、B50、C1000、その他。
Mg入浴でセロトニンからメラトニンへの変換が促される。

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