慢性疾患患者は例外なく低体温~その3、ATPを増やす

低体温=ATP不足

以下は、「すべての不調は自分で治せる」から引用、
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*ATPはどのようにつくられるのか
 ATPは、細胞の大部分を占める細胞質と、その中にあるミトコンドリアという小器官でつくられます。
 エネルギーは糖や脂質からつくられるのはご存じですよね。もう少し細かく分解されると、それぞれ「グルコース(ブドウ糖)」「脂肪酸」となります。どの材料が使われるかどうかで、そのエネルギー代謝の経路が異なります。
 どのような代謝経路があるかというと、次の3つです。
「解糖系」
「クエン酸回路」(別名TCA回路)
「電子伝達系」
 これを踏まえて、エネルギー代謝について見ていきましょう。

*【解糖系】=嫌気性解糖
 では最初に、グルコース(ブドウ糖)が材料となる解糖系です。
 グルコース(ブドウ糖)は、細胞の細胞質でピルビン酸、乳酸などの有機酸に分解されます。グルコース1個からピルビン酸は2個つくられます。ピルビン酸こそがエネルギー代謝に必要な物質なのですが、ピルビン酸ができるまでには10回も化学反応が必要になります。この代謝で大量のビタミン、ミネラルが消費されます。
 そんなに大変な反応を繰り返した割には、グルコース1個からつくられるATPは4個で、このうち2個はこの過程で消費されるので、最終的に「ATPは2個」、つくられることになります。こんなにがんばっても、たったの2個です。
 大変効率が悪いと感じますが、この解糖系は生物にとって最も原始的なエネルギー代謝なのです。この代謝は酸素が不要です。太古の昔、まだ地球上に酸素が少なかった時代の生物は、酸素がなくてもエネルギーをつくり出していました。酸素が“嫌い”でもできるこの代謝は「嫌気性解糖」と呼ばれます。
 この解糖系で分解されたピルビン酸は、次の段階となるクエン酸回路と電子伝達系の代謝回路に入れてあげることが大切です。そうすると、もっとたくさんのATPがつくられます。

*ミトコンドリアにおける【クエン酸回路】+【電子伝達系】=好気性代謝
 解糖系によって得られたピルビン酸は、細胞質の中にあるミトコンドリアという小器官内に入り、アセチルCoAという化合物になり、クエン酸回路に入ります。
 この、ピルビン酸がアセチルCoAに変わるときに必要となる酵素はピルビン酸デヒドロゲナーゼで、その補酵素が、ビタミンB1とB2、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(B5)、アルファリポ酸です。
 さて、クエン酸回路が1回転するあいだに、ATPは2個つくられます。この際の補酵素、補因子は、ビタミンB群と鉄とマグネシウムになります。
 そして代謝の最終段階となる電子伝達系では、解糖系やクエン酸回路で生じた「NADH」や「FADH2」の力を利用して、さらにATPをつくります。NADHはナイアシンから、FADH2はビタミンB2から誘導されます。この電子伝達系は酸素が使われますので、酸素が“好き”な好気性代謝と呼ばれます。この電子伝達系には鉄が必須です。
 この代謝によって、グルコース1分子から「ATPは38個」もつくられることから、効率がとてもいいということになります。
 
*脂肪酸が材料となる代謝は効率がいい
 脂質が分解されてできるのが脂肪酸で、β酸化と呼ばれています。その脂肪酸が材料となるエネルギー代謝の場合には、脂肪酸からアセチルCoAがつくられ、直接ミトコンドリアのクエン酸回路と電子伝達系の好気性代謝に入ります。
 この場合、脂肪酸の炭素数が16あるもの(=パルミチン酸:ラードなどに多く含まれる)の場合は、クエン酸回路+電子伝達系で、「ATPは129個」もできます。
 グルコースが原料の場合は「ATPは38個」が最大量でしたから、脂肪酸はグルコースに比べて非常に高エネルギーであることがわかるでしょう。
 これを踏まえて、ATPをたくさん増やせる理想のエネルギー代謝へご自分の体を変えていくことが大切です。そのためのステップは、2つあります。

*ステップ1 糖質を好気性解糖で完全燃焼させる
 最も重要なことは、糖質の嫌気性解糖主導の代謝から好気性代謝に変えることです。つまり、摂取した糖質を好気性代謝で完全燃焼させることが最重要です。
 糖質をたくさん摂ってしまった場合は、糖質代謝にビタミン、ミネラルが浪費されて好気性代謝の方に入れなくなります。
 嫌気性解糖で得られるATPは2個ですが、乳酸を再度グルコースに変換するコリ回路という代謝でATPが6個消費され、結果的にマイナスATPとなります。糖質を好気性解糖で完全燃焼させるためには、糖質摂取の絶対量を減らすこと、そしてピルビン酸デヒドロゲナーゼの補酵素を補給することです。
 この補酵素が、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB5(パントテン酸)、αリポ酸などになります。つまり、ビタミンB群の補給が欠かせません。
 また、好気性代謝が行われるミトコンドリアはタンパク質そのものですから、タンパク質が不足しているとミトコンドリア機能が低下して、好気性代謝の機能が低下します。
 先に述べましたが、電子伝達系には鉄が必須なので、鉄不足があると好気性代謝機能が低下します。

*ステップ2 脂肪酸代謝(ケトン体代謝)に変えていく
 糖質を完全燃焼できるようになった後に、脂肪酸を燃焼させるケトン体代謝に徐々に変えていくことを目指しましょう。糖質摂取を減らして、脂肪酸摂取を増やしていくのです。
 そのためには、食事に肉、卵、チーズ、バター、ラード、生クリーム、MCTオイルなどを増やしていきます。とはいえ、タンパク質と鉄が不足している女性の場合は、いきなり脂肪酸燃焼代謝に変えることは困難です。
 脂肪酸燃焼代謝に変えるためには、BUN15、フェリチン50程度は必要となります。理想値はBUN20以上、フェリチン100以上です。
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鉄不足がなくタンパク不足が軽度な男性なら、いきなり断糖しても数日で脂肪酸代謝に移行できる。
しかし、鉄タンパク不足の女性では、脂肪酸代謝が上手く使えないため、断糖するとATP不足になり動けなくなる。
従って、鉄タンパク不足の女性は、糖質摂取量を今までの半量程度に減らすが、それ以上は減らしてはいけない。
時間をかけて、鉄タンパク不足を解消してゆく。


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