21世紀の自然治癒の健康相談ー10、エリテマトーデス(SLE)
 
三石巌:全業績ー6、分子栄養学の健康相談、より
40歳の主婦、2年ほど前にほっぺたに発疹ができたと思っているうちに、熱が出たり、節々が痛かったりで、診察を受けました。そこで、全身性エリテマトーデスだと診断され、コーチゾンをやりました。そのせいか、顔がお月様のように丸くなり、手足がやせてきました。これから先が心配です。
 
私のアドバイス、
 全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫病もしくは膠原病とよばれる病気で、難病の一つです。膠原はコラーゲンの意味ですから、この病気はコラーゲンの病気であり、血管や結合組織の病気ということになっています。
 あなたの場合、副腎皮質ホルモンをのんでいるわけですが、すなわちコーチゾンが効くということは、膠原病診断のめやすの一つとされています。だから、あなたの場合にも、これが効いているはずなのです。なにもせずほうっておけば、関節痛がおきます。胸膜炎や腹膜炎もおこるでしょう。また、腎臓が悪くなったり、肝炎がおきたり、リンパ節がはれたり、脾臓がはれたり、その名のとおり、これはまさに全身病に発展する傾向をもつ病気です。
 コーチゾンはたしかにすばらしい薬です。SLEとあっては、ほかにたよりになる薬がないのです。
 SLEの特徴として、患者の30%に、自然治癒がみられるという事実のあることです。自然治癒といえば、なにもせずになおることを意味するでしょうが、現実には、そこに重大な転機があったはずです。私の立場からすれば、当然のこととして、そこに焦点を合わさないわけにはいきません。
 まず、SLE患者の血液をしらべると、そこに、核酸や核タンパクにたいする抗体がみつかります。核酸とは、遺伝子そのものや、遺伝子のコピーの材料ですし、核タンパクとは、遺伝子の核酸に結合したタンパク質です。そして、抗体とは、相手方の活動をおさえるはたらきをもつ分子で、これはタンパク質です。
 抗体がとりおさえる相手を抗原といいますが、一般に、抗原になるものは「非自己」、つまり自分ではないもののことです。すると、あなたの場合、自己であるべき核酸や核タンパクが、まちがって非自己とされ、抗原になってしまっているわけです。一般に、抗原があると、それにたいして抗体をつくることを免疫応答といいます。この場合には、自己にたいして免疫応答がおきているので、これを自己免疫病というわけです。
 じつをいうと、自己免疫病という名の難病のからくりは、現在まったく不明ですが、ここに私の仮説を紹介します。そのアウトラインはこうです。
 まず、自己と非自己とは、どこがどう違うかを考えてみなければなりません。核タンパクでもなんでも、タンパク質と名のつくものは、組織ごとに構造がちがいます。その構造のちがいから、自己と非自己との区別がつくはずです。
 もし、なにかの原因で、核タンパクの構造が本来のものとちがったと仮定しましょう。そのときそれは、もう自己ではありません。それは非自己とみとめられ、それをとりおさえる抗原がつくりだされてよいはずです。
 この仮説が正しいとすれば、核タンパクの構造がちがった原因を考えることがたいせつ、という結論になるでしょう。もっと単純に、それを低タンパク食とみる余地があるような気がします。核タンパクのつくりかえのとき、思うように材料のタンパク質が手にはいらなければ、間に合わせの核タンパクを作ることがあるだろう、と私は考えるのです。
 逆にいえば、高タンパク食で自己免疫病がなおるならば、私の仮説にとって有利な材料ができたことになるでしょう。
 高タンパク食のために、私は配合タンパク(プロテイン)40gを一日最低量にしたいと思います。食事のほうも、タンパク質を十分にとるように気をつけるべきです。
 自己免疫病は、コラーゲンの病気だといわれているのですから、コラーゲンの正常化のためのビタミンCも適当にとりたいものです。
 それからもう一つ、ビタミンEがあります。これは血行改善のためです。
 さしあたり、これを自然治癒のための条件としておきましょう。
その後の経過、
 1ヶ月ほどたつうちに、熱がひき、節々の痛みもなくなり、病気がうそのように消えてゆきました。自覚症状がなくなったばかりでなく、首から上の異常な皮下脂肪もとれてきました。それまでは硬直して、人形のように動かなかった五本の指が、魔法がとけたかのように、急に動き出したのです。これには、本人もびっくりしました。
 医師は、コーチゾン(ステロイドホルモン)の副作用を心配して、徐々にそれを減量していましたが、高タンパク食、高ビタミン食をはじめた時期は、ちょうどコーチゾンを止めたときでしたので、タイミングがよかったということでしょう。
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以前出した症例、
最重度SLEも1年でほぼ完治
(R5.10、プレドニンは1mgに減薬となっている。)
プロテイン20g*2、高タンパク/低糖質食。
B50*2、C1000*3、E400*1、ナイアシンアミド500*6、D5000IU、MK-7*1、
A10000IU、Zn30mg、Mg520*3、NAC600*3。
下記サプリは適宜、
セレン100mcg、ベンフォチアミン150mg、アスタキサンチン12mg、タウリン1000mg、ユビキノール100mg、αリポ酸150mg。
毎月「B+C+グルタチオン点滴」
*B+C+グルタチオン点滴=蒸留水500ml(250mlは抜く)+B1,B6,100mg+B2,40mg+B12.1mg+C30g+グルタチオン1800mg。

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