生物のエネルギー供給源となるATP

「メガビタミン健康法」より

 ここで、ビタミンB群と関係性の深いATP合成についておさらいをしておきます。
  生物はエネルギーなしには生きていられません。植物においても動物においても、エネルギーがないと代謝もできず、物理的な運動もできません。このエネルギーは、ある小さな物質からもたらされます。
  それは「アデノシン三リン酸」という、アデノシンという成分に3つのリン酸が結合した物質です。英語のadenosine tri-phosphateを略してATP(エー・ティー・ピー)と呼ばれます。
 ATPがないと人間は動くことができませんから、機械を動かす「電気」にもたとえられます。また経済を動かすお金にたとえて「エネルギー通貨」とも呼ばれます。
 体を動かすにも、頭を使うにも、呼吸をするにも、心臓を動かすにもATPが必要です。また食物を消化吸収するにも、各種ホルモンを合成するにも、そしてタンパク質を合成するにも、ATPが必要です。
「ATPが十分ある=元気に過ごせる」ということです。生体のエネルギー代謝の目的は、必要に応じてこのATPをつくり出すことです。
 食事から得た糖や脂肪が持つエネルギーは、ATPという分子に変換されて、はじめて使えるということになります。
 一方、ATP不足は、慢性疾患などの病気もたらします。ATPがさらに不足すれば、電気がなくなるわけですので、動けなくなり死に至る、ということになります。
  現代の質的栄養失調は、「糖質過多+タンパク不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足」が原因です。
  このような食事をつづけることで、エネルギー代謝が上手くいかなくなり、エネルギー不足になります。それがすなわち、ATP不足です。

 ビタミンBの中でも、特にB1はATPをつくるエネルギー代謝の中心的な役割を果たすビタミンです。グルコースが好気性解糖に入るために、代謝により生成するピルビン酸をアセチルCoAに変換する際に、ビタミンB1が必要です(鉄も必須)。
  この代謝でATPは38個つくられ、二酸化炭素と水に完全燃焼します。グルコースの嫌気性解糖は、B1不足(そして鉄不足)で生じます。この場合にはATPは2個しかつくられず、不完全燃焼して乳酸が溜まる結果となります。少し理解しにくいかもしれませんが、エネルギー代謝の仕組みは『うつ消しごはん』『すべての不調は自分で治せる』に詳述しましたので、参照してみてください。
  ビタミンB1不足がつづけば、乳酸が蓄積してしまい、酸性化および低体温化が進み、がん発症の原因となってしまいます。
  精製糖質(砂糖や白米)過剰摂取は主にビタミンBを大量に浪費するので、ビタミン不足になります。


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