精神症状が不安定なときは食べ物を疑え!

「薬に頼らずうつを治す方法」、カスタマーレビューより

 健康な脳は、幸せを感じさせる、
「セロトニン」、喜びを感じさせる「ドーパミン」という神経伝達物質で満たされていて、タンパク質、鉄分が足りないと、セロトニンもドーパミンも作れなくなり、うつになる。

はじめに
心の病気に悩む患者さんが「質的栄養失調」状態にあり、「糖質過多+タンパク質不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足」で慢性的な疾患を発症している人は少なくない。
目指すべきは、栄養状態を改善しながら薬を徐々に減らし、病気を完治させ、最終的には薬をやめることである。

1章
栄養が足りないとうつになる理由
厚生労働省の患者調査によると、うつ病やパニック障害を含めた「気分障害」の患者数は、1996年には43.3万人でしたが、2014年には116.6万人と大きく増加している。心の病気が増加傾向にあるということは、病気になる手前の「予備群」の人も、相当数いるのではないかと考えるのが自然である。

もともと医学部では、「慢性疾患の原因は不明であって、治す方法はない」と教えられていて、うつ病などの心の病気に対して医師が行えるのは、病気の原因に対するアプローチではなく、あくまでも症状をコントロールすることを目的とした「対症療法」であり、薬を服用する必要がなくなる「完治」はほぼ望めない。

新薬というのは、発売されるまでに数年間かけて臨床治験が行われ、多くの場合、8週間程度の治験と1年の長期投与の治験が必要で、これは新薬発売の時点では1年を越える長期投与が生体に与える影響は分からないということを意味する。
多くの薬には代謝酵素阻害作用があるために、発がん性があり、新薬の発がん性については、安全かどうかを判断するためには10年程度の長期投与の経過を確認する必要がある。

うつをはじめとする心を病んだ患者さんの栄養状態を調べると、必ず、タンパク質が不足している。
皆さんが質的栄養失調に陥っていても、そのことを医師から指摘されたり、改善するためのアドバイスを受けたりすることはほぼ期待出来なく、そもそも大多数の医師は、質的栄養失調の問題に気が付いてさえいない。

タンパク質は、食事を通じて常に供給し続ける必要があり、肝臓のタンパク質は約2週間、赤血球は約120日、筋肉のタンパク質は約180日でその半分が入れ替わり、大人の場合、1日に食事から取るべきタンパク質は50~70g程度が必要で、卵なら7.5個、豚肉なら245gになる。実際日本人の「普通の食事」では、タンパク質は圧倒的に不足する。

タンパク質は20種類のアミノ酸が結びついて構成されており、そのなかでも、体内で合成できない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」(イソロイシン、ロイシン、トリプルファン、トレオニン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、バリン)といい、必須アミノ酸は、1つでも必要量に満たないと少ないアミノ酸に準じた量しかタンパク質が作られない。例えば、イソロイシンが100あっても、ロイシンが1しかない場合、その1に準じた量しかタンパク質は生成されない。

精製された糖質をたくさん取ると、血糖値を上げるホルモンもたくさん合成することになり、ビタミンB群やミネラルがどんどん使われ不足する。

人間の体は「ATP」(アデノシン三リン酸)というエネルギーがないと、体を動かすにも、頭を使うにも、呼吸するにも、心臓を動かすにも、食物を消化吸収するにも、各種ホルモンを合成するにもATPが必要で、生体のエネルギー代謝の目的は、必要に応じてこのATPを作り出すことにあり、食べたものは、エネルギー代謝によってATPに変換されて、初めて体内で活用される。

ATP不足は、心の病気はもちろんさまざまな慢性疾患を招く、ATPが不足しないようにするためのポイントを知っておくことが大変重要である。

ATPの主な材料は、グルコース(ブドウ糖)と脂肪酸(脂質の構成成分)で、
脂肪酸はグルコースに比べて、最高で3倍以上のATPを作り出す、非常に効率的なエネルギーである。一方、糖質はエネルギー代謝の効率が悪い上、ビタミンをやたらと消費する。

エネルギー源として効率がいいのは脂質で、糖質を控えれば、脂質がエネルギー源としてどんどん使われ、脂質によって効率よくエネルギーを生む回路が働くので、どんどん元気になる上、太りにくくなる。

体内のタンパク質と脂質は、常に「作っては壊す」という代謝を行っていて、粘膜の表面は2~3日で、皮膚は約2週間で入れ替わり、このため、タンパク質と脂質は常に十分な量を摂取する必要があり、特にタンパク質は、体内に蓄積できないので頻回に摂取しなくてはならない。不足すれば、代謝障害が起こり何かしらの体調悪化が起きる。

多くの慢性的な病気は、エネルギー代謝に問題を抱えることによって生じていると考えられる。

実は、生物学では大原則ともいえるエネルギー代謝について、臨床医学の教科書にはまったく書かれていなく、医師が勉強しているのは「病気の診断と治療」に関することが中心で、「どうすれば健康でいられるのか」を指導するための知識はない。

心の病気など、すでに質的栄養失調により慢性的な疾患を抱えている方や、筋力トレーニングに励んでいる方は、アンチエイジングを目指す方などは、1日100グラム以上のタンパク質が必要となる。

ほとんど「完全栄養食品」の卵には、レシチンという脂質が豊富で、レシチンの構成要素であるコリンは、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの材料となり、認知症、うつ病がアセチルコリン不足で生じる。

質的栄養失調に陥ってタンパク質が不足している状態にある人ほど、肉をたくさん食べることができなく、タンパク質不足だと胃腸が健康に働くことが出来ず消化力が落ちてしまい、タンパク質不足が原因で肉を食べれなくなると、それがさらなるタンパク質不足を招くわけである。
このような悪循環を脱するには、ホエイプロテインを活用するのがお勧めで、胃腸が整い、消化力が戻ってくれば、肉もしっかり食べられるようになる。

鉄分不足を解消するためには、肉を積極的に食べることが大切で、野菜に含まれる非ヘム鉄は、吸収が悪く、たくさんの肉や魚が食べられない人は、鉄のサプリメント、ヘム鉄、より効果が高いのは、キレート鉄のサプリメント、「フェロケル」で、1ヶ月当たり1000円程度で済む。

質的栄養失調を解消してATPをたくさん作るには、ビタミン不足の解消も必要で、「ATPブースト4点セット」(キレート鉄・ビタミンBコンプレックス・ビタミンC・ビタミンE)のサプリメントの摂取をすすめている。

質的栄養失調なのかどうかは、血液検査を行い、タンパク質を十分に取れているかを知るためには、健康診断のうちの「BUN(尿素窒素)」をチェックし、一般的な基準値は8~20mg/dlとされているが、タンパク質の十分な摂取を目指す場合、目標値は15~20mg/dlで、男性の場合は、容易に20以上になり、女性でもプロテインを摂取すれば20以上を目指せる。

また、鉄分では、「フェリチン値」で、健康診断で貧血を判断するときには、ヘムグロビン値をチェックするが、ヘムグロビン値が基準値でも鉄不足になっている方が多い。フェリチンの一般的な基準値は、男性で20~220ng/ml、女性は10~85ng/mlとされているが、フェリチン値は100ng/mlを目標にしたい。

2章
マンガで分かるうつを治す方法。
第2章では、マンガで分かりやすく、患者さんの9つの症例を解説していて、お母さんのうつ、タンパク質不足+プレッシャーうつ(40代男性)、マクロビオティック食のうつ(40代女性)、パニック障害+うつ(40代女性)、強迫性障害+うつ(20代女性)、不眠症+うつ(40代男性)、過食嘔吐(40代女性)、統合失調症(20代女性)、ADHD・注意欠陥・多動性障害(6歳男の子)、これらの治療は全て、糖質を控え、タンパク質をしっかり取ることで、鉄分(フェリチン値を上げる)不足を解消する食べ方を、指導し改善している。
投薬も、いきなり止めるわけではなく、栄養状態を確認しながら、徐々に止めていて、患者さんによっては、3年くらい掛けて、薬を止めている。

坑うつ薬の代わりや、不眠症では、ナイアシンが、タンパク質が不足すれば、ストレス耐性が低くなってしまう。タンパク質をしっかり取ってエネルギー代謝が改善すれば、おのずと糖質を取りたいという欲求も収まる。
サプリメントでは、鉄、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、鉄剤、亜鉛、などを処方している。

男性の場合、鉄不足になりにくい半面、いざ鉄不足になると耐性がなく心身に異常をきたしやすく、フェリチンが50ng/mlを切るようであれば、最重度の鉄不足なので、鉄を補う必要がある。
通常、子供のタンパク質不足や鉄不足は、保護者による食生活の管理ができていないことが原因で起こり、偏食がある場合は、プロティンバーなどを活用して補うことも検討した方がいい。

おわりに
実のところ、私の著書やブログ、フェイスブックへの投稿を読んで、うつ病やパニック障害などを自力で克服したという報告も多数よせられている。

この手の著書は、難しい物が多いが、マンガを入れながら、非常に分かりやすく解説している。多分、初めてこの内容に触れた方は、本当に糖質を控えて、肉を食べるだけで、治るのかと、疑問に思う人もいるだろうが、いきなり実践してみても、また、白澤卓二先生、溝口徹先生等の著書から、もう少し深い内容を考察してから試してみてもいいと思う、ただ、精神疾患の薬を処方されている方は、やはり、分子整合栄養学を学んでいる医師の指導を受けた方がいい、日本の精神疾患の薬や、睡眠薬など、諸外国で処方を禁止している薬でも、未だに健康保険適用になっていて、当たり前に処方されている余りにも恐ろしい現実があり、内海聡先生・浜六郎先生等も、薬の依存性の怖さ、その薬を抜くのがいかに大変か、この著書でも、実際に徐々に薬を抜く対策に、栄養状態を整えるアプローチを解説している。回りを見れば、薬の服用から体調を崩していて、その副作用でどうにもならない方を見かけるが、是非、タンパク質を中心とした栄養療法を学んで自身で治すことを体験してもらいたい。
非常にいい著書です。 
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詳細な解説ありがとうございます。

男性の鉄不足について:
男性は鉄不足にはなりにくいのですが、鉄不足には非常に脆弱です。
男性のフェリチン50以下は、女性のフェリチン10以下に相当します。
男性のフェリチン100以下は、女性のフェリチン30以下に相当します。
糖質制限をしている男性のフェリチンは350~450です。
家庭があり、奥さんが作った料理を食べている男性は全員フェリチン100以上あります。

鉄不足となる男性は、
1)幼稚園や小学生のADHD、中高生の起立性調節障害。
これらの患者はほぼ100%、母親から引き継いだ鉄タンパク不足です。
(ADHDの男女比は4:1程度と言われていますが、当院ではほぼ100%男性です。)
このように書くと、遺伝なのですか?と聞かれますがそうではありません。
理由は同じ物を食べているからです。
鉄不足の女性は、直ぐに燃料となる糖質まみれの食生活になります。
そうすると成長期の子供は鉄タンパク不足になります。
治療は全員、高タンパク食+プロテイン+キレート鉄+鉄剤。
3ヶ月程度で完治します。
ポイントは、母親も同時に同じ治療を行うこと。

2)成人の単身男性、単身赴任者。
同じものばかり、糖質ばかり食べるので、鉄タンパク不足になります。
ラーメン+チャーハン、などのダブル糖質を来る日も来る日も毎日、という人が多い。
中には、肉を10年以上全く食べておらず、フェリチン50以下となったうつ病患者もおられました。

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