栄養素についてのまとめ、1.ナイアシン

Abram Hoffer:Orthomolecular Medicine For Everyone、より
昨年ノートにまとめた内容を再掲。

ビタミンB3には、ナイアシン(ニコチン酸)、ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)の2種類がある。
ビタミンは、体内で合成できないものと定義されている。
その定義からすると、アミノ酸のL-トリプトファンからナイアシンは合成されるので、厳密に言うとナイアシンはビタミンではない。
しかし、60mgのL-トリプトファンから1mgのナイアシンしか合成できず非常に効率が悪い。
ホッファーの言葉によると、”われわれがビタミンC合成能力を失ったのと同じように、人類はナイアシンの合成能力を失いつつある”、のだそうだ。

ナイアシンはヌクレオチドサイクルにおいて主要な成分。
つまり、DNA→RNA→タンパク質合成、にとって最重要。
nicotinamide adenine dinucleotide(NAD)は細胞内呼吸の補酵素として必要。
ナイアシンは、消化器系、皮膚、神経系において重要な成分。
また、性ホルモン合成、DNAの修復にも重要な成分。

1,ペラグラ(Pellagra)
ペラグラはトウモロコシを主食とする地域に多発したナイアシン欠乏症。
トウモロコシは、小麦や米に比べ、L-トリプトファン、ナイアシン含有量が低い。
症状は、皮膚炎、下痢などの消化器症状、精神神経症状。
小児期に発症し、免疫機能が低下し、易感染性を引き起こす。

ω3やω6などの必須脂肪酸不足もペラグラを悪化させる。
ナイアシンは必須脂肪酸からのプロスタグランジン合成に必要。

古典的ペラグラは、4Dと言われている。
dermatitis(皮膚炎)、diarrhea(下痢)、dementia(認知症)、death(死)。
日光により発赤、腫脹をおこす光線過敏症が特徴。
光線過敏症は、抗精神病薬を服用している統合失調所患者にもよく見られる。
つまり、ペラグラと統合失調症は非常に近い疾患。

初期には統合失調症様症状が特徴的。
神経症(不安障害)症状などの非精神病症状も多い。
子供では、学習障害、注意欠損性多動障害を生じる。
老年期精神障害、ハンチントン舞踏病もペラグラ症状だとされている。

ペラグラが発症する原因は、
1)L-トリプトファン不足。
2)トウモロコシの大量摂取によるナイアシン摂取量不足。
3)B6摂取不足。
B6はL-トリプトファンからナイアシン変換酵素の補酵素。
4)尿中へのナイアシンの大量漏出。
イソロイシンはナイアシンの尿中漏出を防ぎ、ロイシンはそれを増加させる。

2.関節炎
骨関節炎、リウマチ性関節炎には、2~4gの高用量ナイアシンアミドが著効する。
ナイアシンもナイアシンアミドと同様に有効。
関節の可動域、筋力を回復させ、易疲労性を回復させる。
250mgの頻回服用が有用、3~6ヶ月にて効果を示す。
ほぼ70%に顕著な効果が期待できる。
残りの30%は食物アレルギーなので該当食物摂取を中止する必要がある。

3.統合失調症
ほぼ60~70%の統合失調症患者にナイアシンは効果を示す。
統合失調症は、潜在性ペラグラ、B3(ナイアシン)依存症。
ナイアシン投与により、抗精神病薬の必要量を減らすことができる。
発病後5年以内なら顕著な効果がある。

4.高脂血症
ナイアシンは、他のどんな高脂血症治療薬より、安全かつ有効な高脂血症治療薬である。
(ナイアシンアミドにはその作用はない)。
ナイアシン投与により血中コレステロール値は、高い人は下がり、低い人は上がり、180に収斂する。
ナイアシンは、中性脂肪を下げ、LDL-コレステロールを下げ、HDL-コレステロールを上げる。
ナイアシン2g投与にて、中性脂肪とLDL-コレステロールは50%低下し、HDL-コレステロールは35%増加する。

高脂血症治療には、
1)オーソモレキュラー食(精製糖質を止め、食物繊維豊富な食事を摂取)。
2)ナイアシン3g。
3)B6、C、必須脂肪酸、Zn。

8000人以上のデータでは、ナイアシン投与群では、他の高脂血症治療薬投与群に比べ、1)2年以上長寿、2)11%死亡率が減少、3)他の疾患の死亡率を90%減少した。つまり、死亡率を減少させ、寿命を延長させ、動脈硬化病変を改善させ、脳卒中や冠動脈疾患を減少させる。

5.血管障害
ナイアシンは、循環改善、血流改善効果があり、全身循環時間が25%短くなり、肺循環抵抗や末梢循環抵抗を改善させる。
末梢動脈塞栓症を改善させる。
脳卒中や冠動脈疾患を予防する。
透析しか方法がない最重度の糖尿病性腎症がナイアシン3gにて1ヶ月で完全に回復した。

6.学習障害、行動障害
上記症状は潜在性ペラグラなのでナイアシンで改善する。

7.糖尿病
ナイアシンは糖尿病による血管障害合併症を予防する。
ナイアシンは、血糖値を安定させ、インスリン抵抗性を改善させる。
1型糖尿病において、ナイアシンの投与によりインスリン必要量を減少させる。

8.アレルギー
ナイアシン投与によるフラッシュ(ヒスタミン放出)によりアレルギー症状は改善する。
ナイアシン投与は、アナフィラキシーショックを予防する。
食物アレルギーの人には、ナイアシン+Cが有効。
ナイアシン投与にて、片頭痛患者の75%が改善する。

9.多発性硬化症(MS)
多発性硬化症をはじめとする脳の変性疾患は、脳神経細胞が栄養不良で飢餓状態となっている。
B1、ナイアシンの大量投与、B50、C、E、Mg、Znで改善する。

10.ストレス
ナイアシンは最も顕著な抗ストレス因子。

11.その他
アルコール症にはB1とナイアシンが有効。
うつ病患者の中にはナイアシンが著効する人がいる。
抗加齢にはナイアシンが最も効果がある。
SLEにもナイアシンは効果がある。
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ナイアシンはたった14個の原子でできている非常に小さい物質である。
砂糖よりもシンプルな構造である。
体内の500以上の代謝酵素の補酵素である。
多くの病気はナイアシン不足により生じているため、高用量のナイアシンで改善する。

上記疾患には、高タンパク/低糖質食、プロテイン、C、E、B50、ナイアシン、Mg、Zn、Feを試みるべき。

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