12-2)、狂気の原因はいったい何か? ビタミンは複数の意味で命を救うかもしれない

Orthomolecular Medicine News Service(OMNS), April 30, 2016
および、国際オーソモレキュラー医学会ニュース、より

執筆者: Ralph Campbell, MD

このところ、無差別殺人の増加を目にする。前科の有無にかかわらず、若者がいきなり凶暴になって複数の殺人を犯すことの動機には、どのようなものがあり得るのだろうか。犯人の多くに、精神的な問題があることがわかっており、皮肉なことに、向精神薬による治療とアルコールが相まって、これを煽ることもある。また、銃を手に入れやすいことや、経済的機会がないことも、非難の的となっている。

殺人事件の場合は必ず、動機の調査が行われる。シカゴのような都市部では、よくある考え方として、その誘因は暴力団抗争もしくは絶望感で、一部は警察の不手際によって生じるとされている。昔のシカゴでは、金とそれが生み出す権力の取得が、暴力団員の明確な動機であった。ウィリー・サットンが銀行強盗をした理由はそれである。

「食事と反社会的行為には直接的な関連があると私は完全に確信している。悪い食事は非行を引き起こし、良い食事はそれを防ぐ、という両方の関連がある。」 – Lord Ramsbotham, Her Majesty’s Chief Inspector of Prison(英国王立刑事施設監察長官)[1]

特定のビタミン欠乏と精神疾患との関係に関する知識を有した上で、典型的な米国人の食事の基準がいかに低水準であるか考えると、私は、こうした関連について考えざるを得ない。ビタミンB12の欠乏は、認知症の原因の一つとされるが、これは、何十年も前から医学文献で認められている[2-4]。精神科医で生化学の学位も持っているDr. Abram Hofferは、ナイアシンと統合失調症の2つをを見事に結び付けた。ナイアシンによる治療が実際に効いただけでなく、彼は、それが効いた仕組みについて、適切な説明をしている。[5,6]

「エイルズベリー刑務所における英国刑務所試験の結果によると、収監中の青年にマルチビタミン剤・ミネラル剤・必須脂肪酸を与えたところ、刑務所内で彼らが犯す暴力犯罪の件数が35%低下した。」 [7]

セロトニンやドーパミン、ノルエピネフリンの血中量によって精神的な問題を説明しようとしても、全く説明にはならない。神経伝達物質は互いにバランスを保って作用するからである。ビタミンB補助因子が欠乏すると、どの神経伝達物質も正しく代謝されない。[8,9]ビタミンB群の大量摂取により、結果として是正措置が生じる可能性がある。ピリドキシン(B6)は、個人差が最も大きいものであり、RDA(1日当たりの推奨摂取量)よりもはるかに多い量が必要であることは確かである。このRDAは悲しいほど低いが、多くの米国人はこうした最低基準にさえ達していない。ピリドキシンを豊富に含む食品には、小麦の胚芽とふすまがある。ドーナツだけでは不十分である。
ドーナツと言えば、低血糖の影響がある人が、突然激しく怒り出したり、暴力行為にさえ及ぶのを目撃した人は多いだろう。低血糖症は、高果糖コーンシロップ(異性化糖)などの糖類を大量に摂っていたことが原因となり、また、アルコールの摂り過ぎにも関連がある。

「栄養剤を余分に受けていたグループは、プラセボと比べて、犯罪件数が有意に低かった・・(中略)・・オランダの法務省はその二重盲検試験の結果として48%の差があったことを報告した。」 [10]

我々は、犯罪者の血中ビタミン値を測定する必要がある。また、個々に合わせた推奨治療用量に応じて栄養サプリメントを与える必要がある。どの刑務所にも、オーソモレキュラー専門医を置くべきである。暴力犯罪の犯人を対象とした研究はすでに実施されている。多大な改善をもたらす方法はもう十分にわかっている。さあ、実行しよう。

参考文献
1. Lawrence F. Omega-3, junk food and the link between violence and what we eat.(ジャンクフード、ならびに暴力と食事内容との関連)The Guardian, October 17, 2006.
2. Gesch CB, Hammond SM, Hampson SE, Eves A, Crowder MJ. Influence of supplementary vitamins, minerals and essential fatty acids on the antisocial behaviour of young adult prisoners. Randomised, placebo-controlled trial.(青年在監者の反社会的行為に対するビタミン・ミネラル・必須脂肪酸サプリメントの影響:無作為化プラセボ比較試験) British J Psychiatry 2002. 181, 22-28. Full text: http://bjp.rcpsych.org/content/181/1/22.long
3. Boucher M, Bryan S, Dukes S. Deficiency or dementia? Exploring B12 deficiency after urostomy.(欠乏症化か認知症か? 尿路変更術後のB12欠乏症の調査) Br J Nurs. 2015 Jun 11-24;24(11):594-7. doi: 10.12968/bjon.2015.24.11.594.
以下も参照のこと: Spence JD. Metabolic vitamin B12 deficiency: a missed opportunity to prevent dementia and stroke.(代謝性ビタミンB12欠乏:認知症と脳卒中を予防する機会の逸失) Nutr Res. 2016 Feb;36(2):109-16. doi: 10.1016/j.nutres.2015.10.003.
4. Türksoy N, Bilici R, Yalçiner A et al. Vitamin B12, folate, and homocysteine levels in patients with obsessive-compulsive disorder.(強迫性障害の患者におけるビタミンB12・葉酸・ホモシステイン値) Neuropsychiatr Dis Treat. 2014 Sep 9;10:1671-5. doi: 10.2147/NDT.S67668.
5. Hoffer A. Nicotinic acid: an adjunct in the treatment of schizophrenia.(ニコチン酸:統合失調症の治療における補助手段) Am J Psychiatry. 1963 Aug;120:171-3.
6. Hoffer A, Saul AW, Foster HD. Niacin: The Real Story.(ナイアシン:本当の話) Basic Health Pub, 2012. ISBN-13: 978-1591202752
7. Schoenthaler SJ, Bier ID. The effect of vitamin-mineral supplementation on juvenile delinquency among American schoolchildren: a randomized, double-blind placebo-controlled trial.(米国の学童における少年非行に対するビタミン・ミネラル補給の効果:無作為化二重盲検プラセボ比較試験) J Altern Complement Med. 2000 Feb;6(1):7-17. http://www.elkinsappsych.com/uploads/8/4/3/5/8435157/omega-3__violence-article.pdf
8. Gropper SS, Smith JL. Advanced Nutrition and Human Metabolism,(先進栄養学とヒトの代謝) 6th Ed. Wadsworth, 2013. ISBN-13 9781133104056
9. Dakshinamurti S, Dakshinamurti K. Antihypertensive and neuroprotective actions of pyridoxine and its derivatives.(ピリドキシンとその誘導体による降圧作用と神経保護作用) Can J Physiol Pharmacol. 2015 Dec;93(12):1083-90. doi: 10.1139/cjpp-2015-0098.
10. Gesch B. Adolescence: Does good nutrition = good behaviour?(青年期:十分な栄養=品行方正か?) Nutr Health. 22(1): 55-65. Published online 2014 Feb 4. doi: 10.1177/0260106013519552 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4817227/

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