(超基礎編-14)、今まで2000人に鉄剤を処方してきたが鉄過剰症患者はゼロ

当院では、5年前から女性の初診患者全員にフェリチンを測定している。
男性は、思春期患者、単身者など鉄不足が疑われる症例のみ測定。
毎年900人の初診患者。
その内、女性はは2/3~3/4(郊外の団地の近くなので女性が圧倒的に多い)。
つまり、5年間で3000人以上の女性のフェリチンを測定。
フェリチン50以下の患者には鉄剤を処方(当初は30以下の人に処方)。
女性のほとんどは低フェリチンなので、約2000人に鉄剤を処方してきたことになる。

フェリチンは、初診時、鉄剤開始3ヶ月後、その後は半年毎に測定。
15~50歳女性は、フェリチン100になれば、鉄剤投与を隔日に減らす。
50歳以降の女性、男性はフェリチン100になれば、鉄剤を中止。

初診時、全員に高タンパク/低糖質食を指導している。
高タンパク/低糖質食+鉄剤がキチンとこなせた人は完治(薬が必要なくなる)する。
寛解(薬の投与により症状が消失)ではなくて、完治である。
完治者は1000人/2000人、つまり完治率50%。
治療しても治らないと言われている精神科疾患の中で、これは驚異的な数値のはず。

臨床上問題となるのは、
1)最重度鉄タンパク不足で鉄剤が飲めない人、
2)タンパク不足のため鉄剤を投与してもフェリチンがなかなか上がらない人、
3)どうしても高タンパク/低糖質食が出来ない人、
つまり、鉄タンパク不足が改善しない人は治らない。
そのような人には、メガビタミン、亜鉛、マグネシウムを追加するなどの工夫をしている。

一方、今まで鉄剤を投与した2000人の中で、鉄過剰症(フェリチン>500)となった人はゼロ。
つまり、高タンパク/低糖質食+鉄は、
*最も安全で、
*最も効果があり、
*最も安価な治療である。

エビデンスや理論より治療成績の方がより重要であり、患者にとって最も関心のある部分だと確信している。

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