基礎から学ぶビタミンEー15.皮膚疾患とビタミンE1

三石巌:全業績7、ビタミンEのすべて、より

皮膚の異常
 生体内の過酸化脂質の産生は、日光の照射をどこよりも多くうける前額部において著しい。この部位に沈着している過酸化脂質は、腹部におけるよりもはるかに多い。
 皮膚は過酸化脂質に対して敏感である。リノール酸に紫外線をあてながら酸素を吹きこむと、過酸化脂質ができる。このものを一昼夜つづけたのち、このものを、健常人の上腕内側にはりつけて24時間おいてみた。すると、強い炎症がおき、そこに色素の沈着をみた。よく調べたところ、表皮細胞の変性、毛細血管の透過性の亢進、ミトコンドリアの膨張などがおきていた。過酸化脂質が生体膜に障害を与えた結果である。
 紫外線は、皮膚ガンの発生にかかわっている。この場合、発ガン物質になるのは、コレステロールの光酸化物である、といわれている。ところが皮膚には、この光化合物に水酸基を添加して、非発ガン物質に変える酵素がある。実験によれば、この酵素活性が低下して、12~13週後に発ガンがみられるのだ。この発ガン物質の発生は、抗酸化物質によって抑制されるはずである。事実、ビタミンE1、ビタミンC、グルタチオンなどの投与が皮膚ガンの発生を防ぐことが、動物実験でつきとめられている。
 細胞内小器官のうち、脂質含有量がとくに多いのはミトコンドリアである。ここには多価不飽和脂肪酸をふくむ脂質が、全量の25%を占めている。このものは容易に紫外線によって過酸化脂質になる。このときミトコンドリアは不規則に膨潤する。紫外線の照射から来る皮膚炎は、このような生体膜の自動酸化と、そこからくる二次的反応によるものと考えられている。

シミ
 老人の顔にシミがあることはめずらしくないシミが長寿のしるしとされるのは、そのためであろう。これは、ほくろとちがってメラニン沈着ではなく「リポフスチンの沈着」である。古くなった揚げ油のびんの底のタールに似たものが皮膚にたまって、シミになったのである。
 顔にシミができるころには、心臓の細胞にも、肝臓の細胞にも、副腎の細胞にも、そして脳の細胞にも、リポフスチンが沈着してくる。
 ビタミンE1をのみ、かつ局部に塗布することによって、シミがうすくなった例があるが、それにも筋のとおった理由があるはずだ。いずれにせよ、不飽和脂肪酸の過酸化とビタミンE1とは、切っても切れない関係にあるのである。
 ここに、一言しておかなければならないことがある。それは、ビタミンE1でシミがなおったとき、ビタミンE1を染み抜き薬と見てはならないということだ。シミはビタミンE1不足のためにできたと考えるのが正しい。心筋細胞のリポフスチンについても同様である。
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ミトコンドリアには脂質含有量がとくに多く、多価不飽和脂肪酸をふくむ脂質が全量の25%を占めている。
ミトコンドリアは酸化に弱く、ミトコンドリア膜が酸化されると、酸素、栄養が入らなくなる。
抗酸化物質の投与が必要。

皮膚にシミがあるということは、つまり、心臓細胞にもシミ、肝臓細胞にもシミ、副腎細胞にもシミ、脳細胞にもシミがあるということになる。
リポフスチンが沈着すると臓器障害を引き起こす。

脳変性疾患などは、糖質過多による細胞内タンパクの糖化+生体膜の自動酸化によるリポフスチン沈着、により生じる。
治療は、糖質制限+抗酸化物質(ビタミンE1、ビタミンC、グルタチオン)。
レシチン追加も良いはず。


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