基礎から学ぶビタミンEー2.ビタミンEの種類と作用

三石巌:全業績7、ビタミンEのすべて、より

ビタミンEの化学名は「トコフェロール」、これは「出産の力を与えるアルコール」という意味。
天然のトコフェロールは、化学構造の違いによって、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ツエータ、エータ、テータの8種類。
アルファトコフェロールをE1、ベータトコフェロールをE2と呼ぶことにする。
E1は小麦胚芽に多い。米糠ではE7。
100%E1、100mg=149IU。
各種ビタミンEの「代謝補酵素としての力価」を見るとE1(d-アルファートコフェロール)が最強。

光学異性体、D型は右旋型、L型は左旋型。
天然ビタミンEは全てD型。
合成ビタミンEはD型とL型が等量ふくんでおり、DLアルファトコフェロールなどとよばれる。

 体内の化学反応のうちには不飽和脂肪酸の自動酸化のようなものもあるが、これは代謝にふくまれない。不飽和脂肪酸の自動酸化は試験管の中でもおこすことができ、生体特有のものではないからだ。
 ビタミンEには抗酸化作用があって、不飽和脂肪酸の自動酸化を抑制する。この場面で、ビタミンEは、代謝に介入しているわけではない。
 一方、ビタミンEは「妊娠ビタミン」と呼ばれている。これは、ビタミンEが性ホルモン合成にかかわっているためである。この場面で、ビタミンEは代謝に介入している。性ホルモン合成は生体に特有な化学反応であって、代謝の一つなのである。
 これでわかるとおり、ビタミンEの生体内の役割は、代謝にかかわるものと、代謝にかかわらないものと、二通りあるのだ。
 代謝は生体特有な化学反応であるから、きびしい条件のもとにある。ということは、生体に特有な分子は複雑なもので、立体的特徴をもつ、ということである。そのことからすれば当然のことだが、立体異性体をもつ物質が代謝に介入するとき、特定の一方の異性体のみが選択される。たとえば、性ホルモンを合成するとき、Dトコフェロールは働くが、Lトコフェロールは全く無力ということになる。
 ビタミンEの抗酸化作用は、代謝にかかわるものではないから、その分子の立体構造が厳しくとわれはしない。したがって、この作用を期待するかぎりにおいて、天然品と合成品とは区別を要しないだろう。
 代謝に介入するビタミンEがD型のみだとすると、その場面でL型が何をするか、が問題になってくる。何もせずにいるのなら、われわれは50%のロスを覚悟すればたりる。しかし、L型がD型に似ているために、ニセモノとしてD型と拮抗するのではないかと私は考える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
代謝補酵素としての力価はE1(d-αートコフェロール)が最強。
小麦胚芽を口にする習慣のない日本人は全員ビタミンE1不足。
E1のみーCH3が三つ結合しており、E2、E3などはーCH3が二つしか結合していない。
代謝酵素の補酵素結合部位に対して、E1が最も確率的親和力が強い(E1の形が最もよい)。
一方、L型はニセモノとして補酵素結合部位に結合し、代謝酵素の作用を阻害してしまう。つまり、合成型のDL型では、酵素反応にプラスマイナスゼロで全く関与しないことになる。
つまり、ビタミンEは、天然型のD型で、代謝補酵素としての力価が最も高いd-αートコフェロールを選ぶべき。

{6A397B3C-6576-4087-949A-88C542D2FBA1}

{72E98631-E682-41DD-AC47-5380ABFCD54E}

{E27F8659-501A-42B2-9262-FE86D791C4CD}

元記事はこちら