基礎から学ぶビタミンC-3
三石巌:全業績ー8、ビタミンCのすべて、より
5.ATP合成にビタミンCが必要
いろいろな事実から推論して、ビタミンCは、生物進化のかなり早い時期に、合成が始まったと考えられている。それは、生物の根源的な代謝にかかわっている、ということだ。結局ビタミンCは、生きとし生けるものの生命の、最も重要な鍵の一つとなっているのである。
特殊な細菌をのぞけば、すべての生物は呼吸する。すなわち、空気中の酸素によって基質を酸化し、エネルギーを生み出し、生命活動を営んでいる。基質とは、反応の基礎物質のことで、ブドウ糖がその例である。多くの動物や植物は、ブドウ糖の酸化によってエネルギーをえている。
われわれはよく、体内で食物を燃やして、熱や力を発生している、などという。ここで食物といったものが、ブドウ糖であったとしよう。ブドウ糖は、酸化によって、すなわち燃焼によってエネルギーを発生する。この過程はおおざっぱにたどることができる。
植物においても動物においても、エネルギーなしには、代謝もできず、物理的な運動もできない。
ところが、そのエネルギーはATPという物質から仰ぐことになっている。ATPが、一分子のリン酸を手放すと、ADPができるが、この化学反応のさいに、エネルギーが放出されるのである。
この間の事情を考えると、動植物がエネルギーをつくることは、高エネルギー物質ATPをつくること以外のものではないことがわかるだろう。ブドウ糖からエネルギーをつくるとは、ブドウ糖を原料としてATPを作ることにほかならないのだ。
ATPはリン酸をもっているので、ブドウ糖からATPをつくるのには、これにリン酸をつける必要がある。これが第一段階の反応で、つぎに、このブドウ糖リン酸の酸化がくる。酸化とは、原子または分子のもつ電子を引き抜く過程をさすもので、酸素を付加する反応、もしくは水素を除去する反応はこれに属する。後者は脱水素反応であって、ブドウ糖リン酸の酸化は、これにあてはまる。
ブドウ糖からエネルギーをとりだすとき、すなわち、そこからATPをつくるとき、脱水素反応がおこる。そして、これをひきうけるのがビタミンCである。生体内のブドウ糖の燃焼(酸化)はビタミンCのとりもちによって実現する。
6.脂肪酸燃焼にビタミンCが必要
ビタミンCの必要量についてはすでに触れたが、大量摂取がないかぎり、それの不足は普遍的に見られるはずである。だとすれば、大部分の人は慢性壊血病にかかっている恐れがある。これは結局、ビタミンCが助酵素(補酵素)として働く代謝が必ずしも最高のレベルで行われていない状態に対応している。
壊血病も、軽傷の場合には、とくに自覚はなく、体調がすぐれない、疲れやすいぐらいのところである。筋肉細胞内にあるエネルギー発生装置ミトコンドリアには、エネルギー源となる脂肪酸を搬入しなければならないが、これのキャリアーになるカルニチンはビタミンCなしにはつくれない。そこで壊血病がおこるほどまでにビタミンCが欠乏状態にあったら筋肉はエネルギーを絶たれるので、疲れやすくなるのである。風邪をひきやすい人は、慢性壊血病といってよい。その意味では、これを壊血病などとはいわず、ビタミンC欠乏症とするほうが適切であろう。「ビタミンC健康法」の著者ストーンは、これを低ビタミンC血症とよんでいる。
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まとめ;
ほとんどの人はビタミンC不足で慢性壊血病状態にある。
ビタミンC不足では、十分量のATPが作れない。
ビタミンC不足では、脂肪酸を上手く燃焼できない。
つまり、ビタミンCが不足すると脂肪酸(ケトン体)エンジンが上手く回らず、ATP不足になる。
生クリーム(イントラリポス)+ビタミンCは最重要。
結論;
ビタミンC不足では、ATP不足となり、がんをはじめとする慢性疾患の原因となる。