基礎から学ぶビタミンC-4

三石巌:全業績ー8、ビタミンCのすべて、より

7.コラーゲン合成とビタミンC
 20種類のアミノ酸には、システイン、リジン、グルタミン酸など、名前がついているが、そのなかに、プロリンやリジンがある。コラーゲンを構成するプロリンとリジンは、水酸基がついてヒドロキシプロリンとヒドロキシリジンに変形している。プロリンからヒドロキシプロリンをつくるのにも、リジンからヒドロキシリジンをつくるのにも、水酸化酵素の登場を必要とする。
 そこでわかったことは、コラーゲンの製法のなかには、水酸化酵素の製法がふくまれていなければならない、ということだ。それならわれわれは、親からこの製法も教わっているはずである。
 コラーゲン分子はトポコラーゲンという長いタンパク分子が三つ集まって三編みの丈夫な繊維になっているが、これがきちんとつくられるためには、プロリンとリジンとに水酸基がついていなければならないのだ。このような構造のコラーゲン繊維の引っ張り強さは鋼鉄よりも強いのである。
 ここで、助酵素(補酵素)の役割を思い出していただきたい。水酸化酵素は、当然のこととして助酵素を要求するだろう。それが、ビタミンCなのだ。だから、ビタミンCがなければ、ヒドロキシプロリンもヒドロキシリジンもなく、従って正常なコラーゲンはできないことになる。
 ビタミンC不足のコラーゲン組織を顕微鏡で見ると、本来あるべき暗黒色の繊維の束がきえている。これは鉄筋のないコンクリートのビルディングにたとえられる。
 われわれは歯茎がピンク色をしているのを知っている。これはむろん血液の色だ。歯茎には毛細血管が発達し、そこに大量の血液が送られてきているから、その色が赤みをおびているのだ。コラーゲン不足か異常で、ひびの入ったゴム管のようになったら、それは破れやすくなる。これが壊血病を特徴付ける歯茎からの出血現象である。
 壊血病の時、歯茎はスポンジ状になっている。これは、コラーゲン劣化のためである。というのは、コラーゲンは、細胞と細胞のすきまで、つめものをするような働きをする細胞間質の主役だからである。つめものが怪しかったら、組織がすかすかになるのは、当然ではないか。
 コラーゲンは、人体をつくるタンパク質の三分の一を占めている最も重要な成分である。それは、血管壁ばかりでなく、骨にも皮膚にもあり、結局は全身にあるといってよい。その使命を制するものがビタミンCであったのである。むろんこれらはタンパク質の一形態なのだから、低タンパク食では話にならない。
 皮膚は細菌に対する防御の最前線にあたる。したがってコラーゲンが完全でないと細菌の侵入を許すことになる。できものはその前線を突破した細菌の集落なのだ。
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まとめ
ビタミンC不足ではコラーゲン形成障害を生じ、血管壁、歯茎、骨、皮膚が脆くなる。
コラーゲン形成障害があれば、細菌感染になりやすく、またがん細胞が自由に増殖できる。
脳出血予防、脳梗塞予防、狭心症予防、骨折予防、外傷からの回復、手術の傷からの回復、歯科疾患からの回復、全てビタミンC不足では話にならない。
入院患者全員にビタミンC点滴をしても良いくらいだ。
特に、外科の入院患者には必須だろう。