基礎から学ぶビタミンC-5

三石巌:全業績ー8、ビタミンCのすべて、より

8.ストレスと副腎疲労、ビタミンC
 ストレスに対する脳下垂体前葉の対応は間接的である。すなわち、ストレスの症状は知覚神経を生じて脳を賦活し、全身に戦闘態勢をとらせるにいたる。その実態は、アドレナリン、ノルアドレナリンなど神経ホルモンの分泌である。これが脳下垂体前葉を刺激して、副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促し、このホルモンが副腎皮質に到達して、そこでのホルモン生産を指令することになる。
 副腎はこのとき、重労働を強いられ、ついに肥大せざるをえないのである。この過程において、ビタミンCの大量消費がおき、その血中濃度は大幅に低下する。ビタミンCを抜きにしてストレス対策を語るなかれ、といわなければならない。
 副腎皮質ホルモンといえばステロイドの名のもとに、湿疹でも自己免疫病でも、多種多様な始末の悪い炎症性の病気に対し、ドラマティックな効果を持つ薬剤として知られている。しかしそれは、体内で合成される性質のものだ。まず酢酸を出発点とし、スクワレン、コレステロール、黄体ホルモンを経てつくられる。図に、コルチゾール、コルチゾンとあるのが副腎皮質ホルモンである。コルチゾールはコルチゾンの還元型の物質で、副腎皮質ホルモン全体の85%を占める。生理作用はほぼ同一であって、その消炎作用がストレスに抵抗するのである。
 図には多くの矢印があるが、そのあらわす代謝の一つ一つには、、DNAの指令によって構造の決まる主酵素があり、それと結合すべく体外からとりいれられ、あるいは体内で用意される助酵素がある。すべての条件が整って、初めて代謝は進行する。
 ここで注目すべきポイントは、ストレスのさいの副腎皮質ホルモンの役割である。ストレッサーが強力であればあるほど、コルチゾール、コルチゾンの需要が高まり、ヒドロキシプロゲステロンからコルチゾール、コルチゾンへの代謝が亢進せざるをえなくなり、そのために、ここに登場する助酵素ビタミンCの大量消費がおこる。
 したがって、ビタミンCの補給がスムーズにおこなわれなかったら、副腎皮質ホルモンによる抗ストレス作用がおこなわれず、消耗期への移行が早まる結果となる。平たくいえば、ビタミンCが不足すれば、ストレスに弱いということだ。
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まとめ
ストレスでコルチゾール需要が高まると、ビタミンC需要も数倍に跳ね上がり、ビタミンC不足になる。
ビタミンC不足になると、ATP合成、脂肪酸燃焼、コラーゲン合成に手が回らなくなり、エネルギー障害、代謝障害を生じる。
ストレス過多が慢性疾患を生じる原因の一つは、ビタミンC不足にある。

よく強度の慢性ストレスでがんになったと言う話を聞くが、これもビタミンC不足を介していると言える。

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