基礎から学ぶビタミンC-7

三石巌:全業績ー8、ビタミンCのすべて、より

10.がんとビタミンC  
10-1.発ガン物質はビタミンCを消費する
 1952年、ラッセルは、モルモットを2群に分け、一方にはビタミンC欠乏飼料を与え、一方にはビタミンCを十分にふくむ資料を与えており、これらを同量の発ガン物質にさらすと、第一群の方に先にガンが発生することを発見した。
 モルモットのように、自前でビタミンCの合成ができない動物は、発ガン物質にさらされると、貯蔵していたビタミンCが根こそぎ消費されてしまうことが、べつの研究者によってつきとめられている。要するに、発ガン物質は強い生化学ストレスをおこし、これがビタミンCを消費するのである。ラットやマウスなど、ビタミンCの生合成できる動物では、発ガン物質にさらされると、肝臓はビタミンCの大量生産を開始する。
 外科手術・放射線照射などは、ガン治療の重要な手段となっているが、これがまたストレッサーとして働くことを考えれば、がん患者のからだがビタミンCを強く要求することは明白である。
 ストレスの面からビタミンCを見るならば、これがガンの予防や治療に有効だという話にはならない。ガン患者がストレスに負けるのを防ぐ効果なら、確かにあるのだが。しかし、ビタミンCに活性酸素除去作用があり、またガンの引き金段階や後押し段階に活性酸素がからんでいるとすると、さらにまた、ガン組織がコラーゲンによって封鎖されることがあるとすると、ガンの予防にも治療にも、ビタミンCの役割があることになって、話はますます大きくなってくる。

10-2.制ガン効果についての諸研究
 がんに対するビタミンCの直接的な効果についての研究は、米国国立ガン研究所に資料があるという。それによれば、ビタミンCはエールリッヒ腹水ガンの細胞に毒性を示し、ガン細胞の構造を変えた。このときの動物実験では、体重1kgあたり5gのビタミンCをあたえている。
 ここでガン細胞に対する毒性といわれるものがインターフェロンを意味するとしてよいものならば、論理は単純になる。というのは、がんに特有な奇形のDNAの解読を、インターフェロンが拒否し、細胞のガン化を阻止するだろうからである。すでに述べたように、ビタミンCはインターフェロン合成の助酵素と想定することができるのだから、ビタミンCが制ガン効果をもって当然、と考えてよい。事実、ウイルス感染細胞と同じように、ガン細胞もインターフェロンをつくるのである。
 一方、ガン発生の前提条件として、低ビタミン血症から来る退行性変化がある、という仮説が、マッコーミックによって提唱された。ビタミンCが不足ならば、コラーゲン生成が不完全なために、コラーゲンを中心とする結合組織に弱点ができる。このような、結合組織の退行性変化が、ガン細胞の浸潤や増殖を許す、とマッコーミックは考える。
 この仮説を裏書きする事実としては、ガンの多発する臓器は、ビタミンC濃度が、45ppm以下である、というゴスとリットマンとの見解がある。副腎、眼球、卵巣などのガンは比較的少ないが、これは、他の臓器と比べてビタミンCを多くふくむことによる、と考えることができるだろう。
 このビタミンC濃度は、体重60kgの成人の場合、2.7gの摂取量に相当する。体内のビタミンCの分布が一様であること、消化管での吸収率が100%であることなどの想定がいる。この想定が非現実的なことからして、必要量は5g以上とすべきだろう。
 彼によれば、ガン組織はヒアルロン酸分解酵素ヒアルロニダーゼをさかんに遊離し、これによって境界面を破壊して病巣を拡大する。そしてそれは、ヒアルロニダーゼ抑制因子の弱体化による。ビタミンCは、このヒアルロニダーゼ抑制因子の生合成において助酵素として働く。したがって、ビタミンCが十分に存在すれば、ガン細胞の増殖がおさえられるわけだ。
 ガン細胞の増殖を、完全なコラーゲンでできた強固な結合組織が阻止することはすでに述べた。結合組織からなる細胞間質の、ガン細胞に対する抵抗に着目するポーリングは、コラーゲンを問題すると同時に、コラーゲンと共に結合組織にあるヒアルロン酸を問題にし、ヒアルロン酸を分解する酵素ヒアルロニダーゼにも焦点を合わせたのである。
 臨床実験を指導したポーリングは、結論として、「実際にアスコルビン酸を投与された患者5人につき約1人は、正常な寿命を全うできるかもしれない」と断言している。彼はまた、万策尽きた末期ガンの患者に、1日10gのビタミンCを投与したデータをもっている。その数字の実際は、来日の際、ビタミンC委員会主催の講演会で公表された。激痛のなかで死をまつばかりの、ほかの手段では救いようのないガン患者に対するビタミンCの効果は、予想外に大きい。すなわち、大半の症状の軽減がみられ、死ぬときの苦痛も軽減される。ガンについての研究が進んで1980年代にはいると。発ガン二段階説が有力となり、しかも、この二つの段階に活性酸素が決め手であることが明らかとなった。そこで、活性酸素除去物質としてのビタミンCが、ガン予防のうえで脚光を浴びるのは当然と考えられるようになった。
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まとめ
現在C点滴のガンに対する作用として、ガン細胞にはカタラーゼがないので、Cによりガン細胞が障害されるというもの。確かにこの作用がメインだろうが、これ以外にも様々な作用機序が存在する。

C不足→ATP合成能の低下→代謝障害→ガン発症。
発ガン物質は強い生化学ストレスをおこし、これがビタミンCを消費する→ガン発症。
C不足だとコラーゲン合成能を弱め、ガンの浸潤を許してしまう。
C不足だとインターフェロン合成能力が低下し、細胞のガン化を阻止する能力が低下する。、
Cは活性酸素を除去するため、活性酸素による遺伝子への攻撃を予防する。

ケトン食+高濃度B+C点滴がガンを治すという事実。
糖質制限食+B50+Cはガンを予防するはず。