ビタミンB1注射の効果

三石巌:全業績15、DNAとメガビタミン、より

 私の家では、数年前から、ビタミンB1、B2、Cなどを、注射によりとっていた。それが週2回だったのを、毎日1回に改めたことになる。ビタミンB2は50mg、ビタミンCは100mgであった。
(三石先生の奥様は、乳癌の拡大手術を受けておられる)
 この注射を続けていた5年間、家内の腕は少しも腫れるようすがなかった。ところが、突如として、ビタミンB1の100mgアンプルが発売中止になった。10mgのビタミンB1では不十分という判断もあったし、注射は痛いということもあって、この事態をきっかけに、私はビタミン注射をやめてしまった。そのときから、家内の腕は見る見るはれてきた。 その後50mgアンプルが売り出されたので、その注射をしてみたが、すでに後の祭りであった。家内はいまだに、太くて疲れやすい右腕を歎いている。
 ここで、嫌気性解糖について、一応の説明を加えたい。解糖とは、糖を分解してエネルギーを発生する過程である。嫌気的とは酸素を用いないことをさしている。われわれのすべての細胞はエネルギーなしでは生きられない。そこで、エネルギー発生装置をもっている。その名はミトコンドリアである。ブドウ糖を分解して、高エネルギー分子ATP(アデノシン三リン酸)をつくるのは、細胞小器官ミトコンドリアである。
 筋肉細胞では、主として嫌気性解糖がおこなわれるけど、ミトコンドリアによる好気性解糖もある。好気性解糖によってブドウ糖からATPができあがるまでのいわゆる「エネルギー代謝」は二手に分かれている。1つはクレプスサイクル(クエン酸回路)、1つは電子伝達系である。
 クレプスサイクルではブドウ糖は三回の脱炭酸反応と二回の脱水素反応によって、二酸化炭素と水に分解してしまう。この過程でATPがつくられるのだ。
 クレプスサイクルの推進者は、いうまでもなく酵素である。酵素は一般に協同因子(補酵素)をほしがる。そこに登場するのが、ビタミンB1・B2・ニコチン酸(ナイアシン)なのである。ビタミンB1がなければ、ピルビン酸はクレプスサイクルをはずれて乳酸になってしまう。このとき、酸素は参加しなくなるから嫌気性解糖オンリーの形の代謝となる。
 細胞がガン化すると、酸素の供給があっても、好気性解糖が嫌気性解糖に変わる。ワールブルグがこの点に着目して、嫌気性解糖を避けることが、がん予防の方法になるだろうという意見を吐いたことは有名である。
 冬になると、私はスキーを楽しむことにしている。数年前まで、一行の中に高校生がいた。われわれの仲間は、習慣のようにビタミンB1、100mgの注射を、毎晩やったものだ。高校生氏は、これをバカにしたように横目で見ていた。毎日5時間も雪の上を滑っていると、初日はともかく、三日目ぐらいになると、筋肉痛で苦しみだすのが通例といってよい。ところが、ビタミンB1の大量投与をやっていれば、そういうことにならないのだ。さすがの若者も、注射の効果を目のあたりに見て、自分にもしてくれと頼むようになった。このような例は、一つや二つではない。筋肉疲労の原因物質が乳酸であってみれば、ビタミンB1の効果が期待されてよいわけだ。
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40年前の話なので、医療関係者でなくても注射ができた様子。
B1、100mgの注射はやはりかなり強力です。
以前話したように、注射後1時間以内に体内の乳酸を処理してしまうようです。
つまり、乳酸がなくなるということは、ガンの餌がなくなるということになる。
”糖質はガンの餌”という言葉があるが、正確に記すと”糖質により生じた乳酸がガンの餌”という表現の方が正しいと考えている。