たまたまバイトをしていた会社の設計開発部門に引き抜かれ、自動車会社の設計と、何やら難しそうな仕事をすることになりました。しかし、やってみると楽しい。
僕は、基本的に二次元でも三次元でも、何かを作る作業に熱中するのです。
僕が配属された部門では、主に樹脂部品を扱うので、設計したものがそのまんま形になって製品化されます。
そして、設計というのは、形だけでなく、
・営業部門(予算関係)
・生産部門(金型、工程)
・顧客(自動車メーカー)
等々、各部署の要望や物理的要件を全て満たす、もしくは妥協点を見つけることが重要な仕事になります。
そのためのコミュニケーション力も必要になるわけで、苦しい反面、解決策を探っていく事は非常にクリエイティブであり、僕を満足させました。
特に最初の5年は、仕事に良く打ち込んでいたと思います。
集中力もあったし、意欲的でした。
今では考えられないくらい・・・
しかも、バイト時代には興味もなく知らなかったのですが、部品メーカーとはいえ、東証一部上場企業だったのです。
おそらく、大学在学中に就職活動をしていたら、メーカーの開発部門への就職は厳しかったでしょう。
僕は高校二年まではエンジニア志望だったので、一応、以前の目標を果たしたことになりました。
運が良かったといえば良かったのでしょうね。
まったく想像もしていなかった大企業への就職、仕事の意外な楽しさ。
やりがいのある仕事、自由な社風、ストレスのない人間関係。
この身に起こった僥倖に感謝しつつ、僕は仕事に意欲的にのめりこんでいきました。
ある事件が起きるまでは・・・