逆算すると2000年か2001年の2月のことです。
僕は、約8年にわたり付き合ってきた彼女にフラれました。好きな人が出来た、と。
女にふられる。良くある話で、死ぬほどのことはないじゃないか。
死ぬのは弱い人間で・・・
友人にも言われましたし、それが一般論だと思うのですが、僕の場合、あまりに特殊な人生観を持った彼女だったので、長い間、事実を受け入れられなかったのです。
具体的には説明しかねるのですが、僕にって彼女は「ルール」でした。
僕が19のときに、いったん自分の常識を捨て、彼女のルールを自分の人生の中心に据えることで、生きてきたのです。
他に好きな男が出来た、というのは、そのルールには「あり得ない」ことでした。
僕はパニックに陥り、部屋中のモノをぶちまけ、壁に顔面を打ちつけ、奇声を発し続けました。
何か、
・・・
それから何か、おかしくなってしまいました。
会社でも家でも、布団の中でも、涙が流れ続けて、その後は無気力に支配されました。
その後すぐ、家のオカメインコが死にました。
僕が帰宅すると、僕の名前を呼び、
「○○チャン、オカエリ!○○チャン、オカエリ!」
と踊りながらしゃべるインコ。
精神的ショックから立ち直れない中、仕事だけは容赦なく続き、毎晩のように徹夜で仕事をしていた僕を、更なる不幸が襲いました。

徹夜仕事を続ける中、別の場所で同じように徹夜をしていて、朝方、一人で会社に残っている僕に、何度か電話をくれた元上司。
僕が入社当初から大変お世話になり、好きだったその上司が突然死してしまいました。
毎日毎日、ほとんど家に帰らず、ほとんど寝ていなかったに違いないのです。
僕は、突然止まってしまった心臓が、過労と無関係とは思えませんでした。
そんなことが続き、だんだんと、僕は表情も失い、気力も失い、いつしか「不眠」の症状が現れました。
そして、だんだんと会社にいけなくなりました。
車通勤だったのですが、会社の駐車場に着いても車から出られないのです。
怖くて、ドアを開けられないのです。
夕方まで時間をつぶし、人が少なくなってから初めて、職場に行きます。
気分が悪くなるので、パソコンを立ち上げ、(出社しているアピール)をすると、そのまま逃げるように漫画喫茶へ。
そして、夜中誰もいなくなってから最低限の仕事をし、パソコンを落として帰る・・・
帰宅すると、睡眠薬を飲んで、さらにウイスキーをラッパ飲みしていました。
頭が朦朧としてくるので、やっと現実から離れられます。
そうしないと、夜は苦しかったのです。