松岡圭祐の『JK III』(角川文庫、2023年)を読了。
圧倒的な戦闘スキルを持つ女子高校生が,家族を惨殺された復讐を遂げるべく反社勢力をなぎ倒していくシリーズの3作目。
シリーズ3作目にして最も暴力的で残酷で凄惨なストーリーなのではないか。読んでいて目を覆いたくなるような痛くて過激で生々しいシーンがこれでもかと出て来る。怒りの炎を燃やし続ける主人公の心の根底には悲しみや絶望があるのだろうが,そんなことを微塵も感じさせないバイオレンスの極みへの振り切り方が鮮烈だ。
愛と哀しみを知り,それらを怒りに変えるという点で本作の主人公・江崎瑛里華こと有坂紗奈は『北斗の拳』のケンシロウに似ていると言ったら言いすぎだろうか。悪に対する情け容赦のなさ,何者にも勝る戦闘能力の高さはとても似ていると思うのだが。
このとんでもないシリーズは,はたしてこれで終わるのだろうか。まだまだ続きがありそうな終わり方だが,過激さと残酷さはエスカレートする一方なので,「次」がまるで想像できない。