冲方丁の『マルドゥック・アノニマス8 』を読了(ハヤカワ文庫,2023年5月)。
前巻とのつながりがあまり感じられない巨大抗争の勃発に目が点。唐突感が半端ない。
特殊能力を有するエンハンサーたちの大バトルに終始する展開は賛否が分かれそう。いくらなんでもキャラが登場し過ぎでは?という気がする。もはや誰が誰だか……。このシリーズのコアなファンならともかく,第7巻を読んでから時間が経っている人は事前に“復習”してから第8巻を読み始めた方がいいかもしれない。そうしないと「こんなキャラいたっけ?」と思うこともしばしば……という状態になってしまうかもしれない。
以前から指摘してきたように,人間離れした特殊能力を身体に宿した“超人”たちの一大バトルは映画『X-MEN』シリーズのよう。上述のように本作ではそのような“超人”たちがわらわらと登場してこれでもかというくらい過激な戦いを繰り広げるので,映画と本という媒体の差こそあれもはや「本場を超えた」と言っていいくらいのアクション作品に仕上がっている。
ちなみに,『マルドゥック』シリーズの超重要人物(主人公)であるウフコックやバロットは,本作ではほとんど登場しない。彼/彼女の活躍を待ち望むファンにとっては歯がゆい展開だが,はたして自作ではどうなるだろうか。
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