2019年製作のNetflixオリジナル作品『ブラック・サマー:Zネーション外伝』を鑑賞。全8話。2014年から5年にわたり5シーズン制作・放送されたゾンビ作品『Zネーション』シリーズの前日譚を描いたスピンオフ的作品だ。
律儀に『Zネーション』を5シリーズすべて観てから鑑賞した。内容的な直接のつながりはないので,本シリーズ単体でも楽しめる。頭部を破壊すれば倒せるというゾンビの弱点がまだ判明していないらしく,襲われたらひたすら逃げるのみという点が実にスリリング。このあたりのテイストは『Zネーションネーション』本編とはまったく異なる。圧倒的にゾンビが強いので,群衆がパニックに陥って混乱する様は実に怖い。
キャラよりもストーリーに焦点が当てられており,登場人物が良い意味で没個性的な点も外伝の特徴だ。キャラの活躍や人物の背景がクローズアップされていない上に名前すらろくに出てこないので,全8話のうち4話観た段階でも「こいつ,誰だっけ?」となってしまう。キャラが立っていないと作品が面白くなくなる可能性が高いが,この作品に限っては登場人物の匿名化・没個性化はむしろ「ゾンビからひたすら逃げる」という逃走劇を強調する結果につながっていると感じる。話が脱線することはなく,中だるみや冗長な展開に陥ることもなし。1話40分程度の尺だが,場面転換が頻繁にあるのでテンポがよい。切り替わるたびに小見出しがタイトルコールのように画面に表示されるので,なおさら小気味よく感じる。
登場人物たちはボロボロになりながら当初の目的地であった避難先であるスタジアムにたどり着く。しかし物語が一息ついた感じはまったくしない。あくまでも小休止。シーズン1の8話は壮大な物語の序章にすぎない印象で,いよいよこれからが本番だという雰囲気が強い。シーズン2が楽しみだ。