考察:BABYMETAL②/最近の広告展開とメディア露出が物語るもの | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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2014年11月24日 Text by たろ a.k.a. TAROMETAL

今までほとんど日本のメディアがBABYMETALをまともに取り上げなかったのは,アミューズの戦略だったのかもしれない。

11月22日の早朝に日本テレビ「ズームイン!!サタデー」で組まれた5分程度のBABYMETAL特集を見て,ふとそう思い,23日深夜(正確には24日)にNHKの「Music Japan」を見て半ばそう確信した。

7月に始まったワールド・ツアーは大盛況。今月にはニューヨークとロンドンでの追加公演も行われるなど,BABYMETALは今年海外で最も活躍した日本のアーティストだったと思う。それにも関わらず,テレビはもちろん雑誌も含め,日本のメディアはBABYMETALのこの大活躍をほとんどまともに取り上げなかった。例外は雑誌「ヘドバン」くらいだろう。海外のメタル専門誌やネットメディア,あげくの果てには英高級紙ガーディアンまでもがBABYMETALを取り上げていたのとは対照的だった。

montreal

日本のファンはその状態にやきもきしていたのだが・・・。

10月下旬頃からその状況が変わりつつある。きっかけは10月29日に発売されたライブDVD「LIVE ~ LEGEND 1999&1997 APOCALYPSE」だ。その広告が,西武新宿駅前のユニカビジョンで展開されたのだ。

ユニカビジョンでは同DVDから"ギミチョコ!!","ヘドバンギャー!!","紅月-アカツキ-(Unfinished Ver.)","イジメ、ダメ、ゼッタイ"の4曲がいずれもフルバージョンで流された。時間は20分程度で1日6回。期間は10月22日~11月2日まで。

これとほぼ時を同じくして,渋谷近辺でBABYMETALのアドトラックが目撃されるようになる。トラックの荷台が,そのまま巨大な広告看板になっているアレだ。内容は,来年1月10日にさいたまスーパーアリーナで行われる「LEGEND 2015~新春キツネ祭り」の告知。さらには新宿,渋谷,秋葉原などの駅には同ライブの巨大駅貼ポスターが掲出され,最近ではGoogleのTVCMにも登場するなど,明らかに日本国内での広告展開が活発化した。

極めつけは11月24日の深夜に放送されたNHKの「MJ」だろう。そこではBABYMETAL自身による一言コメント付きで12月22日の深夜に「BABYMETAL特番」が放送されることが告知されたのだ。

MJ

ここ1ヶ月ほどの露出増加にともなって,BABYMETALに興味を持ち始めた人は多いと思う。特に日本人は「海外で大人気!というフレーズに弱いので,なおさらだ(TV番組の取り上げ方は,ほとんどがこの路線だ)。

そんな「コアなファンになるかもしれない潜在的ファン」は,ほぼ確実にネットでBABYMETALを調べ上げるだろう。すると当然「LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT & BLACK NIGHT APOCALYPSE~」(来年1月に発売される第3弾ライブDVD)と「新春キツネ祭り」にたどりつく。

budokan

SSA

結果としてDVD「LIVE AT BUDOKAN」の売上は伸びるだろう。そもそもファンの間でその発売が渇望されていた日本武道館公演を収めたDVDである。まさに「海外進出前夜」のライブなので,潜在的ファンにとっても大いに興味をそそられる作品であるはずだ。さらに「新春キツネ祭り」のチケット一般販売は例によって秒殺だろうし,そうすると事情に詳しくない人々は今さらながらに「なんだこりゃ!?」「BABYMETALすごい!」となることは確実だ。

ついでに言えば,12月1日にプレオープンするBABYMETALのメンバーズサイト(つまりファンクラブ)「-THE ONE-」の会員数も増えるだろう。

the one

コアなファンだけに支えられながら,2014年のBABYMETALは3月に日本武道館2DAYSを敢行し,9月に幕張メッセ2DAYSを数秒でソールドアウトさせた。7月には英国ネブワースの地で巨大メタル・フェス「Sonisphere Festivalに出演し,6万人の"ガチな"メタルファンから最大級の賛辞を得た。今月のロンドン凱旋公演では5,000人規模の会場がソールドアウト。これほどまでの人気と集客力がベースになった上での,日本国内における最近の露出強化が物語るものは何か。

それは「BABYMETALは2015年に日本を制覇する」ことだと思う。

「日本を制覇する」は「国内でメジャー化する」と言い換えてもいい。いずれにしても,日本と欧米で獲得したコアなファン層による支持を基盤に,来年は日本国内での新規ファン獲得に注力するのではないか。

その一環として,待望の国内全国ツアーが敢行される可能性は高いと思う(ドームツアーもあり得る)。ツアーを行えばCDやDVDの売上も増えるし,何よりグッズ販売による収入増を見込める。こうして資金が増えれば海外活動やニューアルバムの制作により大きな投資をすることが可能となり,より良いライブ,より良い作品を提供できるようになる。BABYMETALの人気のベースには楽曲とライブの完成度の高さがあるので,これは大きなメリットだ。結果としてBABYMETALのステイタスは日本国内はもとより海外でも高まり,その存在はますます巨大する。マネジメント側は,そんなことを目論んでいるのではないか。

国内での露出が増えると「いよいよAKB超えか!?」「打倒ももクロか!?」という声が聞こえてくるようになるが,BABYMETALの視線はそんなことのはるか先を見据えていると思う。

豊富な資金と独自路線で推し進められるプロモーション。この2つに支えられ,BABYMETALは「世界征服」を果たし,「オンリー・ワン」な存在になる。

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奇しくもかつてメンバー自身が半ば冗談のように言っていたことが実現するのだ。

2015年はその足がかりとなる1年になると思う。