読書感想文:「高学歴女子の貧困」 | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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大理奈穂子,栗田隆子,大野佐紀子,水月昭道著「高学歴女子の貧困」を読了。

高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか? (光文社新書)/光文社

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タイトルと中身は異なる。

中身はアカデミーの世界における女性の就職難についての考察だ。そこに一般企業は含まれていない。まずこの点に気をつける必要がある。

たとえば院卒の女性が同条件の男性に比べてどれだけ職に就くことが難しいか,ということが書かれてはいるが,それは社会全般における問題としてではなく,大学に残って研究者として食べていくという視点でのみ語られる。

それにしても,本書を読むとアカデミックな世界がかなり特殊であることがよくわかる。男性中心の世界という意味では一般企業にも似たような所は多数あるだろうが,縁故で就職・昇進がほぼ決まるという点ではかなり特殊だ。

それゆえ本書で語られる「高学歴女子の貧困」を安易に一般化することはできないが,それでもかなり重なる部分はあるので参考にはなる。

ところで,この本を読んでいて一番イライラしたのは,貧困な高学歴女子を代表して本書を執筆している3名の女性のうち若手の2名の生き様。

両者ともに博士課程まで進学していながら大変な苦労をしているようなのだが,考え方が甘い。大学時代に「夢」を見つけることができていないのだ。何となく学生生活を送り,確たる夢や野望や野心もなく過ごした結果,就職に困っただけではないか。大学院まで進む積極的理由は見当たらないし,生涯をかけて何かを研究したいのだという熱意も感じられない。そんな人間がまともに就職できるわけがないではないか。それはアカデミーの世界でも他業種でも同じことだ。

そんな甘え考えの持ち主が,自分の人生がうまく行っていない理由を自分自身の中ではなく外の世界に求めている点が腹立たしい。

もちろん就職や昇進といったシーンで女性が不利益をこうむっている現状はどこにでもある。それはそれで問題だ。しかし上手くいかない原因のすべて(あるいは大部分)をそこに求めるのには無理がある。

本当の意味で「高学歴女子の貧困」を語るなら,もっと客観的かつ広い視点から問題を捉えるべきだと思う。

閑話休題。

「~女子」という表現,気持ち悪くないですか?

なぜ気持ち悪く感じるのか自分でも分析し切れていないのですが,とにかく気持ち悪いです。

「女子」って「女の子」つまり「子ども」という意味だと思うのですが,少なくとも成人女性を「女子」と呼ぶことは,その女性を子ども扱いしているようで違和感を感じます。