小林泰三「アリス殺し」を読んだ | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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小林泰三著「アリス殺し」を読了。

アリス殺し (創元クライム・クラブ)/東京創元社

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何とも不思議な話だった。

恥ずかしながら「不思議の国のアリス」は読んだことがないのでベースになっているキャラクターやストーリーはほとんど知らないのだが,それでも十分楽しめると思う。

まず印象に残ったのは,物語の大半が登場人物たちの会話で埋められていること。しかもその会話がことごとく噛み合っていないので,登場人物たちと同じように読み手も混乱させられる。そんな調子なので,「殺人事件」の犯人探しは混迷を極める。このドタバタ感がなんだか楽しい。

もう一つ印象的だったのが,最後の処刑シーン。淡々と無感動に処刑を命じる女王と,まるで感情などないかのように処刑を実行する兵士。その無機質ぶりと,剣やノコギリ,あげくの果てにはノミまで用いて「首をちょん切ろう」とする様子の生々しいギャップが恐ろしい。一撃で首が「ちょん切れる」ことはなく,まるで拷問のように少しずつ命が削られていく様子は,さながら一昔前のスプラッター映画のようだ。

とても個性的な作品だと思う。