前回のあらすじ
17歳でヤンデレに覚醒したとカミングアウトしたこたか。
でも、その頃って昭和末期、或いは80年代後半だったんじゃね?
そんな時期にヤンデレが実在していたはずがないじゃない?
そんなの絶対おかしいよ!と言うツッコミが聞こえないでも無い。
ベッキー「ちょっと大将、80年代にヤンデレなんて存在してないはずでしょうが!」
こたか。「まあ、公的にヤンデレ認定されてないけど、僕的には正しくヤンデレだと思うものがあったんだよ。白倉由美ってまんが家の『セーラー服で一晩中』とか『セーラー服物語』辺りの作品だね」
ベッキー「何か古そうな作品ッスね。つーか、やらしいヤツなんすか?ハアハア」
こたか。「確かに17歳前後の女の子を中心に描いてはいるけどね。でも直接的な描写は無いからそう言う用途では使えないと思うよ?」
ベッキー「おおっと、そいつは残念。じゃあ何が見どころなんすか?」
こたか。「やっぱり外見も内面も共に繊細に描かれた女の子たちだね。彼女たちは往々にして人生を恋愛にオールイン(全賭け)して、その結果壊れてしまうんだけど、その壊れ方もある意味美しいんだよねー」
ベッキー「ほーん、例えばどんな風にすか?」
こたか。「例えばこれは『セーラー服で一晩中』のヒロインの川原砂緒(かわはらすなお)についてなんだけど、両親と折り合いが悪かった彼女は社会人の男性と学生結婚をするんだけど、結婚して5日後に夫を亡くしてしまうんだ。でも、彼女は非常に明るく振る舞っていて、そんな陰を感じさせないんだわ。普通は泣き暮らしてもおかしくないのにね。どうしてだと思う?」
ベッキー「んー、何か自己暗示でもしてるんじゃ無いすか?旦那と出会った事自体を忘れてしまったりとか?」
こたか。「惜しい!正解は旦那がいなくなってしまった事を忘れてしまったんだ。何かの事情があって自分の元に帰って来れないだけだと思い込んで、心の平穏を保ってたんだ。そうでもしないと辛すぎて生きていけない。さりとて自殺は怖くて出来ないから」
ベッキー「はあ、また変わった感じでおかしくなっちまっていたんすねえ。他にはどんな感じのがあったんすか?」
こたか。「うーん、あとは列挙してく感じにしようか。
・少年K…上記のヒロインに片想いするクラス1の秀才。人間分析に優れており、彼女の一番の理解者でもあるが、旦那が死んだと言う真実を教えたらまず間違いなく彼女は自殺してしまう事に気付いてしまったが故に真実を告げることが出来ない。…頭が良いからこその悲劇。
・少女S…彼女と彼は小学二年生の頃から付き合ってるのに、彼氏の方は高校二年になった今でも彼女を子供扱いしてて全然進展がない状態が続いていた。業を煮やした彼女は彼に『あの子は売春をしている』との匿名の怪文書を送り、更に客らしき男とラブホに入るところを彼氏に目撃させる。それでようやく彼氏は彼女への想いを自覚し、紆余曲折の末共に大人の階段を登るのだった。…穏便な方法が他に幾らでもあったのでは?
・心中失敗少女K…恋人との交際を親に反対され心中しようとするが、恋人は約束の時間に現れず、絶望して自分一人で入水自殺を図るも、地元の少年に止められる。その後も絡んでくるこの少年を恋人だと思い込もうとし、心中に誘おうとするが拒絶され、少年が恋人では無かった事にも気付き、再度入水自殺を図る。…思い込もうとしてところどころ失敗して、少年に特大のトラウマ植え付けてるんだよね。少年の未来に幸あれ…。
などなど、他にもたくさんいるけどキリがないので割愛。夕奈ねーちんとか言葉様とかこそが、一般的なヤンデレの定義に忠実なキャラクターなんだろうけど、白倉由美作品の少女たちのように、他者に暴力を向ける事なく(一緒に死のうとはするけどw)一人孤独に傷つき壊れて退場していく様もそれはそれで美しいものがあるように思えてね。多感な少年時代の僕は心を鷲掴みにされてしまって、無論死ぬまで魅せられたまま生きて行く所存なんだよ」
ベッキー「ある意味とんでもない有害図書ですな。今風に言うなら特級呪物?出逢わなければもっと違う生き方が出来ていたのでは?」
こたか。「いや、多分違うね。僕の根っこに既にこうなる素地があって、遅かれ早かれこうなっていたんだよ。それに、よく考えたら他にもあったよ、80年代に出逢ってしまっていたヤンデレ作品が。ユーミンのあの曲を聴くたびに思い出すアレが!」
ベッキー「ゆ、ユーミン⁉︎ヤンデレ要素あるんすか、あの人?」
こたか。「ユーミン自体には多分無いけど、BGMにずっと流れててね。もう忘れたくとも忘れられないんだ。それについては次回また白倉由美回をやった後でまた改めて」
ベッキー「は?白倉由美回がまた続くんすか?」
こたか。「うん、白倉さんの作品の後書きにあるとある文章がその後の自分にめっちゃ影響与えてるんでね。避けては通れないんだ」
ベッキー「うわあ、また特級呪物か…」
こたか。「こら、そんな風に言わないの!」
ベッキー「へいへい、わかりましたよ…」