「1年で億り人になる」★★★☆☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

「1年で億り人になる」(戸塚真由子)
 
億り人を目指すなら「減らない運用」と「最初に大きな元本」。
 
つまり本書の要旨は、できるだけたくさんお金を借りて、借入の利率より高い運用をする、というもの。こう言ってしまうとシンプル極まりないが、本書のポイントは「大きな元手」(稼ぐのではなく集める)と「現物投資」。

では、元手はどうやって作るかというと本書では、親や友人から借りる、クラウドファンディング、銀行融資、など。不可能ではないが簡単ではない。

一方、おすすめの現物投資はというと、中古不動産(自分の足で探す)、農業事業、粗大ゴミ輸出事業、など。これまた不可能ではないのだろうが、なかなかハードルが高そうだ。

本書が指摘している通り、実業で成功するために必要とされる能力と比べると、投資家として成功するために必要とされる能力はかなり低いことも事実。とはいえ、「やる!」と腹をくくるくらいの意志は最低限必要だろう。

実際、人間関係や住んでいる場所など環境をバッサリ捨てた、というような成功者の事例が複数紹介されていて、環境を思い切って変えることも推奨している。

著者はというと、短期間で訪問販売のトップセールスになったり、積極的に人的ネットワークをつくったりと、知力、行動力、精神力、好奇心などかなり高レベルと思われる。様々な経験や失敗もしている。

この本書タイトルを安易に鵜呑みにする方はいないと思うが、大富豪になる方法は(共通する思考アルゴリズムはあるにせよ)100人いれば100通りだと思うし、それなりの苦労も必須だろう。逆に、いろんな経験や失敗を経た上での成功じゃないと達成感もないし、つまらないのではないのかな、と思う。

この本に書いてあることに挑戦してみるのも、「あり」か「なし」かといえば「あり」かもしれない。ただ、本や他人の言うことに依存し過ぎず、成功への近道として参考・ヒントにするくらいの気持ちで、自分なりの活路を見つけていく気概も必要だろう。



その他、時間を大事にする、まず先に与える(人を喜ばせる)、など、(投資家に限らず)多くの成功者に共通する普遍性のある考え方もちりばめられており、共感するところ、参考になるところもあった。読み物としても、それなりに楽しめた。




以下、備忘
 
 
 
大富豪は「お金を増やすための発想」がまったく違う。
「どうやって稼ぐ」なんて1ミリも考えていない。
最初に考えるのは「どうやって元手を集めるか」「どうやって借りるか」。
 
「投資家」と「経営者」は別物。
実業ビジネスを成功させる能力は誰にでも備わっているものではない。継続的に稼げるのは100人中2-3人。
しかし、資産構築は能力に関係なく、誰でも成功できる。投資による資産構築は誰がやっても同じ結果になる。
 
秘訣は、「稼ぐ」というマインドを消し去り、「集める」「借りる」マインドで、最初から大きなお金を持つことに尽きる。
そして、無駄遣いを徹底的に排除し、初めから大きなお金を使って減らないように運用すること。
 
 
本当のお金持ちは、「お金をたくさん持っている人や、高収入の人」ではないく、「自動的にお金がたくさん入ってくる仕組みを持っている人」のこと。もっとも大切なのは「金の鶏を飼う」こと。
 
 
大富豪の「BS脳」は、100万円持っていて50万円借りたら、資産は(負債50万円を合わせて)150万円と考える。中小企業経営者などは、働いて稼ぐ売上重視の「PL脳」。大富豪はお金に稼がせる。
 
 
「良い借金」と「悪い借金」を区別できるのが本物のマネーリテラシー。
「良い借金」は、できるだけ低金利、無駄なことに使わない、きちんと事業に回す、毎月のキャッシュフローがプラス、など。
「悪い借金」は、住宅ローン(一生仕事をやめられなくなるワナ)、セールスに売りつけられた不動産投資、など。
 
 
兎にも角にもまずは「大きな元手」。
親・親戚・友達から借りる、クラウドファンディング、エンジェル投資、小規模企業共済、経営セーフティ共済、銀行融資、市町村独自の借入制度、私募債など社債による借入、株で投資家を集める(エクイティ投資)
 
 
壮絶な捨て方をする人ほど成功する。
 
 
「不要なもの」を選別しまくり極限まで物を所有しない。
チャンスを掴む人は荷物が少ない。
 
 
相手が喜んで倒れるほど「先」に与える。
「見返りを求めず、『先に与える』ほどなぜか豊かになる。どうしてそう豊かになれるのかは不思議だけれど、『先に与える』のは、この世の真理と言えるだろう」(師匠のオリバー)
 
 
仕事は好きなことをライフワークとしてやり、全力で相手を喜ばせて、お金はありがとうの対価としてもらえるのが究極の形。
 
 
大富豪になるため、どの道を選んでも確実に通るべきポイントは『法人を持つこと』。
理由は、節税効果がものすごい、会計を通じマネーリテラシーが身に付く、融資が受けられる、など。
 
 
現物投資は年利8-9%が相場(最高でも15%)。
 
 
富裕層がやる投資は、世の中に価値を提供することにより自分も豊かになる、というケースが多い。
 
 
■最強の現物投資
 
・築古不動産の1棟買い
自分の足で探すことが鉄則中の鉄則(業者からの紹介はすべて疑う)。
 
・農業への投資
健康志向の高い富裕層向けの高単価の農作物がおすすめ
 
・粗大ゴミの輸出への投資
発展途上国の買い取り先に売る事業
 
・海外不動産への投資
発展途上国では人口バブルが起こっている
 
・その他
超高級腕時計、貴金属、アンティークカー、不用品の輸出業、ダイヤモンド、お酒
 
 
 
「時間=命」
会いたくない人とは会わない。
ドタキャンするような人とは関わらない。
付き合う人を慎重に選び、長く良い付き合いをし、信用を守る。
お金持ちほど決断が早く、決断を覆さず、どんな小さな約束でも守る。
(お金が無い人ほど、さんざん迷った結果、契約後のキャンセルが多い)
時間を節約するためなら、乾燥機付き洗濯機も、プライベートジェットも、買う。
他人でもできる仕事は他人にさせる。
 
 
大富豪の朝は早く、一般人と比べて2-3時間前に起床。
 
 
浪費は最大の敵。
10万円を稼ぐには税金も経費も掛かるが10万円を節約すれば丸儲け。
「お金を掛けなくても良い」という判断に敏感に(劣る人は見栄のために浪費してますます貧しくなる)。
 
 
見た目や住む場所を変えるだけで金運が上がることがある。
覇気、オーラ、引き寄せ。意外なほど、大富豪の多くがこのようなスピリチュアルな世界を信じている。
 
 
 
「誰でも億り人になれる」魔法の法則
・性格の良し悪しは資産構築にはまったく関係ない
・ビジネスの能力もまったく関係ない
・いい借金はどんどんする
・極力苦手なことはやらない
・お金は銀行に入れず、借りた利率以上で運用する
・配当の範囲内で生活する
・時間とお金の無駄遣いをしない