「Chatter(チャッター)」★★★☆☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

「Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法」(イーサン・クロス)
 
 
わたしたちはしょっちゅう、頭の中でひとりごとを話している。

自分自身、夜中にふと目が覚めて、考えごとが頭の中をぐるぐる回って、朝まで眠れなくなることも、一時期あった。
 
メジャーリーガー、リック・アンキールは2000年に11勝・194奪三振の好投手だったが、ポストシーズンの大事な試合で投げた1球の暴投からチャッターに心身を乱され、1イニング5暴投でマウンドを降り、それ以来ピッチングはよくならず、25歳の若さで引退した。
しかし、2007年には強肩強打の外野手としてメジャー復帰を果たした。投手としてメジャーリーグ通算10勝、打者としてメジャーリーグ通算70本塁打はベーブ・ルース以来の記録となった。
 
 
内なる声はネガティブなチャッターとなって人生をどん底に落とすこともある。しかし、内なる声を強みに変えることできる。
 
 
本書に書いてあるチャッター対処法は、参考になった。ポイントは「距離を置く」ことだろう。儀式など「自分におまじないをかける」ことも、案外効きそうな気がする。ネガティブスパイラルが回りそうになったら、実践してみようと思う。
 
 
 
以下、備忘
 
 
内省(自分自身の思考や感情へ積極的に注意を向けること)を行う能力のおかげで、人間は、想像し、思い出し、反省し、これらの想念を利用して問題を解決し、イノベーションを起こし、創造することができる。
 
意図的な内省は、賢明で有益な選択肢を導き、前向きな感情をもたらすはず。。
しかし、多くの人にとっては間違っていた。
 
チャッター(頭の中のしゃべり声)を構成するのは、「循環するネガティブな思考と感情」。
・過去の出来事の強迫的な蒸し返し(反芻)
・未来の出来事の不安な想像(心配)
・否定的な感情と観念の自由連想的ピンボール
・ある特定の不愉快な感情や見解への病的執着
 
 
チャッターへの対処法
 
・距離を置いた自己対話
他人の視点に立つ(二人称、三人称で自分について語る)
ex)わたしは困っている→あなたは困っている
ex)カエサルは「ガリア戦記」で自分自身について書くとき“私”ではなく名前と“彼”を用いた
研究によれば距離を置いた自己対話はストレスのかかる状況下において挑戦志向の言葉で考えるよう導く。
「君ならできる」という激励を自らに送れる。
 
・友人に助言していると想像する
 
・視野を広げる(問題からズームアウトする)
 
・経験を試練としてとらえ直す
 
・心のタイムトラベル
1年後10年後もそれを心配しているか、将来自分がどう感じるかを想像する。
ex)コロナのパンデミックは一過性でいずれ過ぎ去るだろう
 
・視点を変える
自分を遠くから見る(壁にとまったハエのように、他人を観察するように)
 
・日記を書く
 
・中立的第三者の視点を取り入れる
 
・お守りを握りしめる、あるいは迷信を信じる(プラセボの効果)
 
・儀式を行う
ex)アスリートが動作の前に行うルーティン
 
・愛する人の写真を眺める
 
・緑地を活用する
ex)自然の中を散歩する
 
 
 
 
内なる声はネガティブな感情によって思考を曇らせることがあるものの、そのような批判的な自己省察力がなければ、学び、変わり、向上することは難しい。
 
人間には内なる会話による痛みがときどき必要。肝心なのは、(ネガティブな精神状態を完全に避けることはできないが)その状態に押しつぶされないこと。