★★★★☆
「ホワイトスペース」というと、一般には未開拓の市場や領域と言う意味合いで用いられますが、本書では「その企業の既存のビジネスモデルが活動の対象としていない領域」「コアスペースと隣接スペースの外にあり、新しいビジネスモデルを確立しないと生かせない領域」という意味で用いられています。つまり、ビジネスモデルの「ホワイト・スペース」ということです。
いまいちしっくりこないというか、あえてそんな紛らわしいネーミングにしなくても、もっといいワードがあるんじゃないかという気もしますが・・・
著者は、かの有名な「イノベーションのジレンマ」の著者であるクレイトン・クリステンセンと共同でコンサル会社を設立した人物であり、そういう先入観で読んでしまったから、という部分はありますが結構内容というか主旨は「イノベーションのジレンマ」とかぶっていると感じました。
要するに、コアスペース=得意分野=既存事業、の常識やルールや既成概念にとらわれることなく、ゼロリセットで新しい視点で顧客価値提案やビジネスモデルを考えないとイノベーションは起こせない、ということです。
既存のルールにとらわれると、未知のものを避けることが合理的な判断だと思い込みやすい。
その顧客価値提案がどれほど既存のビジネスモデルとかけ離れていてもひるんではならない。
ビジネスモデル・イノベーションを実現するためには、慣れ親しんだやり方を脱却することが不可欠。
・・・といわれても、なかなかできないですね。
しかし、このホワイトスペースの開拓を繰り返して成長している会社はあります。
アップルは既存のPC事業からはホワイトスペースとなるiPodをiTunesと連携させたビジネスモデルで成功させました。
アマゾンは既存事業に影響を与えかねない古本の仲介事業を自ら開始。さらに、EC2、キンドル、とホワイトスペースに進出しています。
「顧客に提供するサービスの魅力を常に高め続けたければ、自社が得意なことをおこなうだけで満足してはならない」「顧客がなにを望んでいるかを明らかにし、それを提供する能力を築くべきだ」(ジェフ・ペゾス)
その他、備忘
アップルのiPod/iTunes、アマゾンのキンドルはジレットの髭剃りと替え刃のビジネスモデルを逆転させてデジタルメディアの分野に応用した。安価なコンテンツを用意して高価なハードを売るモデル、とのこと。(なるほど。キンドルはどちらかというとジレット型だと思うが)
ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ/マーク・ジョンソン
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参照:
「イノベーションのジレンマ」
「イノベーションへの解」
「明日は誰のものか」