「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート


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マックス・ウェーバーをはじめて読みました。


宗教って、正直日本人にはあまりなじみがないと思いますが、世界の人々にとっては一般的に人生や価値観にとても影響力を及ぼします。

プロテスタントの国で資本主義が発達した理由が分かった気がしました。




キリスト教(カトリック)の伝統的な考え方では、富の蓄積は安息、怠惰、贅沢などにつながり好ましくないこと、いかがわしいこと、とされてきました。その日の生活の分の稼ぎがあれば十分だと。

しかし、カトリックから分離したプロテスタントは、財産や所有物や時間や労働を有効に活用すること(合理的な営利の追求)は肯定されるどころかむしろ神に命じられた行為だと考えました。利益を獲得することは非道徳的なことではなく神が望まれることだと。

また、職業には天職(ベルーフ)という意味合いが含まれ、職業は神から与えられた使命であると考えました。職務の遂行は神のためであり、その結果富を獲得することも道徳的に問題が全くないどころかむしろこれも神に命じられた行為だと。




資産効率を高めること、ROEを高めること、起業すること、転職すること、得意なことや好きなことを職業にしてガンガン稼ぐこと、みんな神に命じられた行為ということになります。



とはいえ、儲けすぎちゃった富裕な人々は昔から「良心の代価」として教会の施設に膨大な寄付をしてきました。マイケル・ジャクソンやビル・ゲイツがいろいろと巨額の寄付をしていることも、キリスト教の国では全く自然な行為なんですね。






プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(日経BPクラシックス)/マックス・ウェーバー

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