「哲学する赤ちゃん」 | Jiro's memorandum

Jiro's memorandum

泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆


赤ちゃんは過去も未来も意識せず、瞬間瞬間を生きています。

少し大きくなると想像力が発達します。ごっこ遊びがそうです。想像力が備わると未来を予測できます。

未来を予測する脳領域は、過去を想起する脳領域と同じ部分です。したがって、体験したことを記憶する自伝的記憶という能力が同時に発達します。

こうして、過去、現在、未来を一貫したものと捉えることができるようになっていきます。

そうすると、例えば、今我慢すれば後でいいことがある、という「実行制御」ができるようになります。この、嫌なことを我慢できる実行制御の能力が高い子供は、学業成績がよいとか自殺のリスクが小さいということが実験で明らかになっています。

想像力を養うごっこ遊びのような遊びを、そういう遊びを促すようなおもちゃや道具がそろった場所で、自由に遊べる、そういう環境を作ることは結構大事だということです。大人の愛情の元だと、より効果があるそうです(親じゃなくて保母さんとかでもよい)。

そういえば、確かイギリスとかデンマークとか、幼児教育に力入れていますね。



ちなみに、IQスコアは遺伝的要因と環境要因によって決まってきますが、環境要因のほうが大きいそうです。どんなにすばらしい遺伝子を持っていても、環境が整っていなければ能力は開花しないのです。

これは歴史が証明しています。人間のIQは20世紀を通じて飛躍的に上昇しました。これは、遺伝子が変わったためではありません。教育環境が変わったのです。



ということで、愛情を持ってままごととかにつきあってあげたり、教育環境を整えてあげたりすることが子供の将来にとってとても重要です。親の責任重大ですね。




以下、抜粋


赤ちゃんが学習に没頭できるのも、まわりの人が世話をしてくれるおかげです。大人が赤ちゃんを愛するからこそ、赤ちゃんは学べるのです。乳幼児の学習は、愛する人たちのすること、話すことの見聞が中心になるという点は重要です。この種の学習を通じ、子供たちは前の世代が発見したことを自分の知識として取り込みます。赤ん坊を世話する人たちは、知らず知らずのうちに教育も施しているのです。

想像力は真実を見つけるのを助け、真実を知ることは想像力を育みます。ごく幼い子供にも、世界の因果マップ、つまり世界の理論をもとに別の世界を思い描くことができます。理論が修正され、世界についての知識や概念が充実するにつれ、子供が思い描く反事実や可能性も豊かになっていきます。反実仮想の世界が目に見える形で開花したものが、幼児期のごっこ遊びです。このような想像力は大人になっても保たれて、世界の別のありようを思い描き、現実を変革する力となります。









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