「これからの「正義」の話をしよう」 | Jiro's memorandum

Jiro's memorandum

泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆


企業救済、代理出産、臓器売買、中絶、同性婚、災害地での便乗値上げ、など、世の中の仕組みについて再考するいい機会を提供してくれる本です。



■3つの観点

・幸福の最大化
功利主義。福祉すなわち社会全体の幸福を最大化する方法を考える。

・自由の尊重
リバタリアン。完全な自由市場で財とサービスを自由に交換することが富の公正な配分につながる。

・美徳の促進
道徳的な観点から見て人々にふさわしいものを与える。美徳に報い、美徳を促す。



本書は幸福も自由も肯定しつつ、道徳をもう少し見直そう、というメッセージがやや強いです。

個人的には、経済成長や豊かさにつながる生産性向上やイノベーションは自由競争の中から生まれると思うので、リバタリアンの考え方に納得感を持っています。

ただ、人間は理性のある生き物なので、何をやってもいいというのは、やっぱり違うんだろうな、とは思います。

しかしながら、道徳と一言で言っても、人それぞれ、あるいは国や宗教によって価値観は様々で、どこで折り合いをつけるか、難しいです。



「正義」は、とても深い、永遠のテーマですね。





これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学/マイケル・サンデル

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