「Den Fujitaの商法〈2〉天下取りの商法」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★☆☆

全盛期の藤田田氏をあまりよく知らないのですが、稀代の経営者だったんだな、と思います。発想も非常に豊かです。今読んでも非常に面白い。



以下、備忘録


世の中には「追い風商法」と「向かい風商法」がある。
次第に客が減っていくのが「向かい風商法」で、段々と増えてくる商売が「追い風商法」である。
「追い風商法」を目指すなら、毎年生まれてくる百五十万人を相手にしなければならない。
私は毎年生まれてくる百五十万人に、ハンバーガーとシェイクをねじこむつもりで商売をやっている。小さいころにハンバーガーの味を覚えさせればこちらの勝ちだからだ。P.35


※デジタルネイティブ、ソーシャルネイティブ人口も今後どんどん増える



全天候型ビジネスを狙うから力が散漫になって失敗するのだ。
全天候型ではないビジネスのほうが大きく儲かるはずだ。
(中略)
年齢だけでなく、対象も女性だけにしぼったり、ごく限られた営業品目で勝負したり、夏型なら夏型だけの商売を考える。全天候型の商売よりも、そのほうが、回転もいい。P.37


マクドナルドはあらゆることが科学的な根拠の上に立って組み立てられている。
※例)コーラは摂氏4度、パンの厚さは17ミリ、パンの気泡は5ミリ、が一番美味しい
(中略)
日本人はコメがうますぎるから、伝統の食べものを科学する精神がないのだ。もっとも、そこにマクドナルドのつけ込む余地があったといえるが・・・。
日本人は第二次世界大戦で、レーダーがなかったために負けたという事実をもう一度、思い出すべきである。科学の差に敗れたのだ。
科学に敗れた日本人が、またもや、食べ物で科学を忘れている。これは考えなければならないことだ。
科学する心が儲かることにつながっていることを、改めて強調しておきたい。
P.66


私は資本の論理、資本主義社会とは儲けることだと思っている。
最近、弱者救済とかいって、資本の論理をゴマ化す言葉が流行っていて、儲けることは罪悪みたいにいわれつつあるが、それは間違っている。我々は勝たねばならない。ビジネスは勝てば官軍で、負ければ賊軍、儲からない人は亡んでいくのだ。
「いやあ、景気が悪い。ウチは今、まるで売れない。それは世の中が悪いんだ」
こういっている人は、自分がバカだといっているようなものなのだ。
なぜなら、マクドナルドのように、年に20%も売り上げが伸びて儲かっている企業もあるのだから。P.89


社員が自分の仕事に使命感をもつようにしていけば、自然にやる気を起こすものである。
(中略)
私は、マクドナルドのハンバーガーを売る仕事は、日本で一番国民のためになる文化的な価値がある仕事だ、と社員にいい、自分でもそう思っている。P.123-4


米と魚を二千年も食べてきた日本人に肉とパンのハンバーガーを食わせる、と12年間前に私がいったときには、国中からアホではないかといわれた。井伊直弼が非難を浴びたのとかわらないほどに私に非難が集中した。
開国するなんて大バカ者、というのと同じ思想でコテンパンにやられた。ところが、そういって非難をした人たちが、いまや、ウマい、ウマい、とハンバーガーを食べている。
商売は攘夷ではいけない。井伊直弼の、門戸を開くという発想をもってこなければいけない。P.174


※井伊直弼は100年先を考えて、開港しなければ中国のように欧米にやられてしまうと、勅許も得ずに開国条約にサインした。殺される危険を覚悟で信じる道を選んだ。





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◇参照:「Den Fujitaの商法(1)頭の悪い奴は損をする」