「日本電産永守イズムの挑戦」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆

日本電産は買収した会社の人員削減を絶対にしない。その代わり、労働時間を延長する。10%人員を削減する代わりに10%労働時間を増やす。

永守氏自身、超ハードワーカーです。日本電産の三大精神は「情熱・熱意・執念」「知的ハードワーキング」「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」。

その永守氏の人生観に大きな影響を与えた母の口癖は「人の倍働け」だったと言う。「人の二倍働いて成功しないことはない」「絶対に楽してもうけたらあかん」と。実際、永守氏の母は誰よりも長時間の畑仕事を続け、次々と田畑を買い、地元で有数の資産家になった。

永守氏は1944年生まれである。ここまで強烈ではないにしろ、戦後の経済が苦しい時期に永守氏のような環境で育って反骨精神を身につけたビジネスマンが日本の高度成長を支えたのではないかと思う。しかし、そういうビジネスマンがどんどん引退していって、おそらく「いい大学を出て大きい会社に入って安定するのがいい」と刷り込まれて育ってきた社会人が主流を占めるようになった。こういう観点からも、今の日本経済の低成長は必然なのかな、という気がします。



■永守重信語録

「一日24時間という時間はすべての人間に平等に与えられている条件。これをどう使うかで、勝負が決まる」

「企業の発展を担うのは、たった一人の天才ではない。ガンバリズムをもった協調性のある凡才の絆こそ、組織の原動力である」

「企業は存在するかぎり、常に成長を続けなければならないし、成長なしに企業の活性化は図れない」

「経営というものは、結局は数字がものをいう。いくら立派な理論、すばらしい表現であっても、数字という裏打ちのない机上論であれば、それは犬の遠吠えに過ぎない」

「成長の陰には必ずハードワーキングがある。ソフトワーキングで成長している企業はない」

「その人にどれだけ能力があるかという前に、どれだけ信頼できるかということが優先する。いくら有能であっても、人を裏切り、苦しみを共に分かち合うことのできない人には仕事を任せられない。信頼の基本は『ごまかさない』『にげない』『やめない』の3つにあると思う」

「人の総合的な能力は、天才は別として、秀才まで入れてもたかだか5倍、普通は2倍しか違わない。ところが、やる気、士気、意識は100倍くらいの差がある。だから、少々能力がなくても、意識の高い人を採ったほうがいいと思っている。世の中の人は、成績のい人を採れば、さぞや立派な製品やいい客を開発するだろうと考える。もしそうなら、日本電産などとっくに大企業につぶされていたはずだ」

「リーダーの強さがそのグループの勝負を決する。すなわち、一匹の狼のリーダーを持つ49匹の羊の軍団と一匹の羊のリーダーを持つ49匹の狼の軍団が戦えば、勝つのは一匹の狼のリーダーを持つ軍団である」



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