「グーグルが本を殺す」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★☆☆☆

この本は文字がかなり大きいうえに94ページしかない。本というより小冊子。グーグルのビジネスモデルやビジネスのやり口をうまく捉えていて内容的には悪くないと思うが、これで714円は高い。


この本の著者が指摘するグーグルのブック検索事業の問題点は3つ

1.著作物の作者に敬意を払っていない(例えば異議の意思表示をしなければ異議なしと解釈するオプトアウト方式はけしからん)

2.米国以外の商慣習を理解していない(例えば米国内での和解を国際的に適用しようとしている)

3.権利者の了解なしに勝手にスキャンしDB化しているが、これは明らかな犯罪行為


以上、完全にシロではないかもしれないが、おそらくすべてルールに則っているのではないかと思う。上記の指摘は多分に感情論的である。3点目についてはグーグルが商業活動を行うとか作者が実害を被るとかしない限り、スキャンしてDB化しただけでは犯罪行為にはならないのではないか(商業活動をするために和解の提案をしているわけだし)。

ストリートビューもそうだが、グーグルはある程度訴訟を覚悟した事業展開をしている。グーグル以外でもそういう例が増えているように思う。事前に根回しをやっていたら時間がかかってしょうがないし、見切りで始めて先に利用者の支持を得てしまうほうが関係者を説得することは簡単だ。

◇関連リンク
「グーグルが日本を破壊する」



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