「2011年新聞・テレビ消滅」 | Jiro's memorandum

Jiro's memorandum

泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆

「コンテンツ」「コンテナ」(コンテンツを運ぶ容器)「コンベア」(コンテナを配達するシステム)の3層モデルで業界構造を分析している。特段、目新しいフレームワークではないがシンプルでわかりやすい。



以下、備忘録


■新聞(というかテキスト系コンテンツ)

コンテンツ=新聞記事
コンテナ=新聞紙面
コンベア=販売店


従来はこのモデル。新聞社が編集権から流通網まで支配。



コンテンツ=新聞記事
コンテナ=ヤフーニュース
コンベア=インターネット


今はこっちが主流。



コンテンツ=新聞記事
コンテナ=新聞社のサイト
コンベア=インターネット


このモデルの成功例はほとんどない。有料にすると読者が離れる。無料・広告モデルでは十分な広告収益が上げられない



コンテンツ=新聞記事
コンテナ=ヤフーニュース、検索エンジン、だれかのブログ
コンベア=インターネット


こうなると完全に新聞社のコントロール外



コンテンツ=新聞記事
コンテナ=アマゾンのキンドル
コンベア=インターネット(無線)


このモデルで有料課金もありうるが、キンドルの配信手数料は70%もとるらしい



コンテンツ=さまざまな記事
コンテナ=リクルート「R25」
コンベア=紙の印刷物


紙ベースでも新たなプラットフォームが台頭していると



コンテンツ=折り込みチラシ
コンテナ=新聞のすきま
コンベア=新聞販売店


新聞のこの優位性もshufoo!「タウンマーケット」などが切り崩す





■動画系コンテンツ

コンテンツ=番組
コンテナ=テレビ
コンベア=地上波


コンベアの権益を有するテレビ局がこの世を謳歌



コンテンツ=番組
コンテナ=パソコン上でのユーチューブ、HULU
コンベア=インターネット


インターネット上でこうなっているのは周知のとおり



コンテンツ=番組
コンテナ=ケータイ上でのBeeTV
コンベア=インターネット(携帯)


携帯インターネットでも台頭するのか?



コンテンツ=番組
コンテナ=テレビ、ケータイ、ゲーム機、パソコン
コンベア=電波、CATV、衛星放送、インターネット


そしてコンテナが多様化



コンテンツ=番組
コンテナ=次世代STB
コンベア=電波、CATV、衛星放送、インターネット


コンテナを束ねる次世代STBのポジションを握ったら強い(アップルTV、アクトビラ、Wii、スパイダー、など)





■音楽業界では

コンテンツ=楽曲
コンテナ=メジャーレーベルの製造したCD
コンベア=CD販売店


これが従来モデル



コンテンツ=楽曲
コンテナ=iTunes Store
コンベア=インターネット


インターネット上でこうなっている。コンテナはもっと多様化しそう





■ゲーム業界では

コンテンツ=ゲーム
コンテナ=ゲーム機
コンベア=ゲームソフト販売店


これが従来モデル



コンテンツ=ゲーム
コンテナ=パソコン上のハンゲームなど
コンベア=インターネット


オンラインゲームが一定のポジション獲得



コンテンツ=ゲーム
コンテナ=ケータイ上のモバゲー、グリー
コンベア=インターネット(携帯)


携帯ゲームもかなり市民権を得た



コンテンツ=ゲーム、ソーシャルアプリ
コンテナ=iPhone、SNS
コンベア=インターネット(PC・携帯)


コンテナのオープン化でコンテンツが膨張



--------------------------------------------------
新聞社やテレビ局は地主から小作人に成り下がる。

ただ、小作人(コンテンツ)であろうが地主(コンテナ)であろうが、トップ企業はかなり儲かる。弱小の地主もいれば、立場の強い小作人もいる。

例えば、プラットフォーム横断的に人気アプリを供給するZyngaはもはや小作人とはいえない。

有望な小作人の奪い合いも始まっている。





2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)/佐々木 俊尚

¥788
Amazon.co.jp