「人口で見る日本史」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆

人口は増加と停滞(または減少)を繰り返してきた。

文明によって環境の収容力が高まると人口は成長し、人口がその文明の環境収容力の上限に達すると停滞し新たな文明を促す、という繰り返し。

化石エネルギーは「植物が成長する分だけに制約されてきたエネルギー消費」の殻を打ち破り、産業革命をもたらして人口を爆発的に増加させた。

しかし、枯渇性の再生不可能な化石エネルギーに依存した人口増加はもう限界。


先進国と発展途上国で人口問題の捉え方は大きく異なるが、地球の収容力という原理原則からみれば、人口の調整は起こるべくして起こっているように思える。原油価格や穀物市況の上昇も(バブルの部分は確実にあると思うが)長期的には自然な現象なのかもしれない。グルジア問題のような資源争奪の戦争が多発する可能性もあるだろう。

歴史を振り返ると、現在の人口問題を理解しやすくなる。




以下、備忘録


日本の人口波動 4つの波


■縄文時代

増加(紀元前1万年→紀元前3000年頃)
弓矢・土器などの道具による食料獲得・加工技術の向上
村落による共同生活

停滞(紀元前3000年頃→紀元前1000年頃)
寒冷化


■弥生時代~鎌倉時代

増加(紀元前1000年頃→700-800年)
水稲農耕化、渡来人の増加?

停滞(700-800年→1300年頃)
政治権力
律令制国家による統制、耕地拡大に制約→三世一身法、墾田永年私財法→荘園の誕生、荘園領主、貴族→農業生産拡大のインセンティブ低下
渡来人の減少?
伝染病の流行、温暖化による旱魃、飢饉


■室町時代~江戸時代

増加(1300年頃→1720年頃)
市場経済化、貨幣経済化
富国強兵の地域間競争
二毛作・裏作、牛馬耕など農業生産効率の向上

停滞(1720年頃→1880年頃)
環境資源(肥料、草地・森林、水)の制約
女性労働力の重要度の高まり、晩婚化・少子化(市場経済化の負の面)
気温低下(小氷期)、凶作・飢饉
噴火・洪水などの災害、疫病


■幕末~近代

増加(1880年頃→2005年)
工業化、化石燃料への転換により森林資源や自然エネルギーからの制約を超える

停滞(2005年→???)
晩婚化、少産化、核家族化、女性の社会進出(育児の負担増加)
食料・資源・エネルギーの枯渇問題





[図説]人口で見る日本史/鬼頭 宏

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