チリンチリンと、鈴の音をさせて | すずめがチュン

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アケノさんを取りまく風景をおとどけしてます。











2014/7/10 撮影

だれかが・・・いま、

廊下を通っていった・・・・

 

消灯の9時をすぎてから、どれくらい時間が

たったのか?・・・・

 

何かの細菌に感染したらしい私は、突然おきた不明熱のために

もう一週間も入院してました。

高熱、リンパの腫れ、身体の発疹と続き、毎日採血や検査でヘトヘトに

なりながら、腕には一日中点滴の針もくっついていました。

 

いまだに・・・何の細菌に感染したのやら分からないまま

  その夜の血圧が、80と40

思わず、「え、そんな血圧があるんですね」と

目を開けて看護師さんの顔を窺うと・・・・

   無言のまま 案外ふつうの顔だったので

 「ありなのかもね」と思ったのですが

 

やがて消灯になり、眠れないまま・・・・しばらくたった頃

 その鈴の音は聞こえました。

チリンチリンと、その音の主はトイレに入って行くでもなく・・・

 そのまま通り過ぎて行き、

消灯後のこんな時間に、鈴の音をさせて歩いてるなんて一体ダレだろう? 

 と、気になっても鈴の音はそれっきり聞こえて

  来なかったのです。

 

翌朝、妹から母が亡くなったことを聞かされました。

 選りによって私の入院中に!しかも、あっという間に逝ってしまうなんて

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんて呆気ない、あっさりした旅立ちをするのよ、と思い

   でも、いかにも母らしい、と思えるのでした。

 

前夜聞いた鈴の音が 母だったんだと分った時 ふいに涙がこみ上げてきました。

 母の車いすには、転倒防止のために

  小さな鈴が くくり付けられていたのです。

その車いすに乗り

 「母さんはもうすぐ逝くけど、あなたは何処にいるの」と

  尋ねてきてくれたんだなと。

 

葬儀が終わった晩、

 案の定、夜中にまた具合が悪くなりました

水を飲まなきゃ、飲まなきゃと思うのに身体を起せず 

 寝返りもできないほど疲れ切ってる事がわかって、思わず

「母さん、起きれない、活入れて!」

  と呟いたとたん

ダレかの手が、グイっと私の右ほほを持ち上げ、次に頭をグンと

 圧したのです。

 

正しく母の手でした。

 「ほら、しっかりせんと」

  「うん、そうだね」と私は跳ね起き、水を飲みました。

 

夢ではない、

  確かな人の手の感触、

  そこから、今はもう形のない人からの言葉も伝わってきました

 

 ああ、ほんとに、ほんとに在るんだ!

   形を変えて、ずっと在るんだな

  そして交流できるんだ、

    と確信しました。

 

  すごいですね!