(38) 二つの光が、すっかり見えなくなった・・・ | すずめがチュン

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アケノさんを取りまく風景をおとどけしてます。











2014/7/10 撮影

店に急ぎ、


 真っすぐ 化粧品コーナーに行くと


棚にくっついた 小さな鏡の前に、妹はいた。


 後ろから近付いて・・・・いきなり



「ね、ね、見たよぉ、今!、飛んでたよ、」と言うと、


   振り向いて 


  「なにが?もしかして、宇宙船・・・えぇっ、ほんと


          ・・・見たかったのにぃ・・・」


   と言って


  鏡をのぞいている、よそ行き顔を


    みるみる 残念顔に変えてゆく。


    

「最初、点滅してたのよ、飛行機かな?って思ったんだけどね」


   「違ったんだ、」


「うん、あれはどう見ても、飛行機じゃないね!」


   「なんか変だった?」


「二機すごく、くっついて飛んでた・・・そんなに近くを


 飛んだら危ないでしょ、ってくらい」


   「うん、飛行機だったらね」


 

「でしょ、なのに後ろのが もっと近づいてきて、


  シュっと・・・横に並んだのよ」


   「へえ~っ」


「まだあるよ、最後は、追いついてきた方のが


   前に出て 飛んでったんだから、」



   「わぁ、見たかったなぁ、スゴイね、宇宙船の技術って!」


「スゴイねぇ~! あんな事できないよ、飛行機じゃ


 止まったりもして見せるしね、」


   「うん、それよ、それも見た人結構いるんでしょ、」


「居る、カオルちゃんも見たって言ってた、ホントに 落ちてくるかと


  思ったって・・・・それも、飛行機じゃなかったって事だね、


   二回、見たらしいよ!畑で真下から」


   「びっくりするよね、」



「ねぇ・・・でも、ずっと、目の錯覚だろうと思ってたんだって、


   私が、宇宙船の話しするまで


   あ・・・今、思い出したんだけど、前にも一度あったよ


        さっきみたいなコト」


   「さっきって、さっきの宇宙船のこと?」


「そう、去年の夏ごろ、 ほら夜も一生懸命 ベランダで


  頑張ってた頃・・・・おんなじだわ!全く、


    おかしいよね、全く同じなんて、なんでだろ?


      ね、なんか、意味あるのかな?」


   「多分・・・


    同じ宇宙船、って事じゃない、それを


     教えてるとか」


「・・・・・・・・はぁ!」


   「きっと、そうだよ」


「なるほど・・・そういうことか!、そうかもね」


   と、思えば思うほど


    ほんとに、そうだと思えるのだった。



買いものを終え、クルマに乗りこむ時


  もう一度空 を見上げたが、


 あちこちに見えてた星が、きれいさっぱり


  なくなっていた、


 低く湿った雲が、空一面を


  くまなく覆っている。



   「なんだ、曇ってきちゃったね、もしかしてと


    おもってたのに」


「やっぱり、明日から天気悪くなるんだ、」


    と、見えなくなったものは


     諦めるしかない・・・


 

 帰って、PCに取り込んだ宇宙船の写真でもみよう


  という事になった。


 クルマの中でも、同じ話がつづき、


  二階の部屋に落ち着いても、まだ話す。



  ふと、この一年の事を思いだした。


 時々、顔を合わせ今日の様に、何時間かを


  ふたりで過ごすが、


    話題は、いつも宇宙船!・・・それしかない、


   それぞれ奮発して買ったカメラを、いつも持ち歩いて


    パチパチ写した写真を見せ合い


   ネットのUFО動画と 見比べながら


    「ほら、やっぱり宇宙船だ!、これとおんなじじゃん」


  「鳥じゃない、ってことだよね」と、時間を忘れ


    眠るのを忘れて、いつも朝になる。



   宇宙船の話に、日常のグチ話が入り込む隙はない、


  もはや一年前とは、日常そのものも


    変わってしまっている・・・


   空を見上げる時間が、とんでもなく増え、



  昼前と、夕方の決まった時間以外にも


    ヒマさえあると、空を見る



   ただ、そこで何を考えてるか?と言ったら・・・


     雲の形や、流れとか


      日によって違う、太陽の暖かさの加減とか


     今まで、知らなかった沢山の鳥の姿や


      様々な、飛行機の形の事くらいで


   日常に関係のあるものは、ひとつもない、



  それを毎日、飽きもせず、「はぁ、そうなんだ」と


   けっこう、面白がりながら眺めてる内に、


それだけだった 空の中に、ある日
 

   ピカリ!と、何か普通でないモノが姿を


     現した。



 長く、長く待っていたその瞬間は


   誰の場合も、見逃さぬよう、ちゃんと設定されているのだろう、


 なぜか 「アレだ!」と、直ぐにわかった、


    ナニがどうわかったか・・・、と言うと


     ただ、「わかった!」としか言いようがないが、


 それと、それを見た自分を信じることにした。


その日から、雨と、曇りで、空が雲で見えない日以外は


  毎日、ほんとに毎日、空を眺めている。


 残りの時間で家事をこなす間も、頭の中には


   宇宙船が居続けているわけで、


 

 「ベランダに高い鉄塔を立てていてさ、そこから絶えず


  ピ・ピ・ピッ・ピ・・・て、信号送ってるようなもんだね、」


    「自衛隊OBの、○△さんが言ってたしね


     『もう、日本上空にはUFОが、ウヨウヨいるよ、』って」


 「そうでしょ、だからアケノさんちの家の上空まで来たら


   素通りできないわけよ、もう四六時中、見張られてるから」


     「『はい、はい、こんにちは、』って通るんだ、」


 「そうそう、『いいですね、準備できましたね?光りますよ、』とかね」


     『あ、ま~たピント外してるよ』


  『しょうがないね・・・もう一度光りますよ、ピカッ』



   しょうもない話してます、いつも


    宇宙人さん達、どうか悪しからず、

   


   



  

    つづく