(33)「奥さん、見えました?」と声がする、 | すずめがチュン

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アケノさんを取りまく風景をおとどけしてます。











2014/7/10 撮影

振りかえると、となりの奥さんが、


  玄関の奥から、身を乗りだすようにして


   こっちを見ている。


 「二機!」と言いながら、指を二本立てると、


   「へぇ~っ!・・・・」


    と言って、出てきた。



とたんに


  飼い猫のルルちゃんも、走ってきた、


    かまってもらたくて


     ミャーミャー鳴いている、


  それを、抱き上げ


 歩いて来ながら、


   私の指差す方を 見る



青い空に、突然あらわれた豆粒ほどの宇宙船、


 最近は、家の真上のコースが多い、


  お隣と、ウチとの間の細いすじ、そこに立って


   見上げた時が、真上で、一番大きく見える。



 「ほらほら、あそこ!」


   「・・・・・・・」


 「小っちゃ~い、白いの、」


   「・・・・・・ん・・・」


 「ほんっとに、ちっちゃいですよ・・・見えます、


   もっとこっち来て ほら、あそこ・・・指の先」


   「え・・・あれ?・・・・」


 「そう 見えたでしょ、あれ、アレ」



   「へぇ~~っ!・・・・」


  と言うと、奥さんは抱いてたルルちゃんを


   下に おろすと、


  今度は両手をかざして見始めた。



 「ね、飛行機じゃないですよ・・・ずっと見てて


  光りますよ、もうすぐ・・・・ホラ!ホラ!」


   「わ、光った!・・・・」


  奥さんの、何とも言えない顔を見ながら


   ・・・・・・私は大きく手をふる。



 青空の中で、やっと目に留めた白い点が、


   目の錯覚でも、見まちがいでもなく


  確かに今、見ているモノだ!


   そう 思うのに、十分すぎるくらいの輝きと、時間で


    光りながら、南へと進んで行く宇宙船を


  目をまん丸にして見つめている。



私は、心の中で小躍りしながら、手をたたき


  「ありがとう、ありがとう!、奥さんに見せてくださって!」


   とお礼を言った。



 昼間の宇宙船が、青い空に紛れながら飛んでゆくのを


  目で追いながら、


   時々、「光って下さい!」とお願いする


 宇宙船は、真上や、目の前を横切る時、それから


  いつもの、約束の位置に近づいた時、


    光ってくれる、



 「 見てますか!」と、言ってるようで、


   「ハイ、見てますよ~!」と、答える



 「 きょうも、見てくれてますね~!」


    と、目の前を 光りながら


   横切ってゆく時は、


   「もちろん!」と、


    ベランダから慌てて身を乗りだし、シャッターを押すが


     何故か、写らない?

 


 二機が続けて現れる時は

 「 今日は、仲間も たくさん飛びますよ!」


   と、言ってるようで


     「了解!、うれしいです」と、身構えて待つ


    すると、ほんとに、次から次へと現れるのだ。



 部屋に居て、ふと空を見たくなり


  立ち上がって、北の窓をあけたら、そこに居る


   というのも、頻繁にある。



六機現れて、


 「キリがいいので、もう一機で7機が・・・・いいな」


  と何気なく思っていると、


  ホントに、もう一機現れ、



5時半の最後のシップが飛んで行っても、


 その日の夕焼け空が、あまりにきれいで


  ふと、


 「こ~んなに綺麗な空なのに・・・・もったいない!


  もっと飛んでもいいのに」


  と、座り続けていたら


 西の山の上を、もう一機、飛んでくれたので


  驚いた事もあった。



 時間になっても、 空が雲に覆われ、


  ため息をついてた時・・・・


 ポカっと雲の切れ間ができ、そこに姿を


  見せてくれたことも、


 

そんな時はもう、嬉しくてたまらなくなる。


  なりながら・・・



子供みたいに、気まぐれで 思いつきの願いを


  時には、我がままさえも


どうして、


  空の方達は、いつも無条件に聞いて下さるのか?


   と思っていた。



 小さい頃から、おねだりが不得手、


  いまだに、そうで・・・



ふと無意識に願ったことを、


   いともたやすく


  叶えられた時は、喜びにも一つ、驚きが


   くっついてきて、


   「え、どうして?」になる。



それが、だんだん変わってきた。


  シップを見始めて、八か月


   一日も、シップが頭から消えた日はないけれど


その何倍もの意識で、空の上の方達は


  私たちを見ている・・・・・


    というのが、今わかっている。



 「どうして?」なんて思うのは、


マルちゃんや、ホノちゃんが


  「ばあばは、どうして優しくしてくれるの・・・?」


    と、聞くようなもの、


「それはね、マルちゃんやホノちゃんの、ばあばだからよ」と。


  


    つづく