ボクは、小さい頃、
こんな風に思ってたんですよ・・・・・なぜなのか、
わからないんだけど 」
「 どんな風に? 」
「 自分から、見えるとこにいる人は、動いてるけど、
見えなくなった途端に、
止まってるんじゃないかって、」
「 え、どういうコト?」
「 たとえば、 そこから、じゃね、て出て行って 戸閉める、
見えなくなる、で動かなくなる 」
「 静止画面みたいに、ってこと?」
「 まぁ、そういうこと 」
「 おかしい~,ね、ね」
と妹に聞かれて、すぐに返事ができない、
まるで、おんなじだったから!
自分の小さい頃と、
「 おどろいたぁ!・・・いるんだ、おんなじコト
考えてた子! 」
「 え、そうなんですか、お姉さんも? 」
「 そぉ!、私の場合は、止まるじゃなくて、
消えてるんじゃないか、と思ってたけどね 」
「 ヘンなの、そんなコト考える子いないよ~」
「 アミも、そう思ってたよ!」
なんと、もう一人いた、カウンターの中に、
三人目の・・・ヘンな子!
「アミちゃんも、いなくなると思ってた?」
「 少し、違ってるけど、見えないトコで休んでると思ってた、
「 そうそう、それも思ったコトがある、
出番が終わった 役者さんみたいにね 」
「 そぉ!」
「で、いつから、そうじゃないと、思い出したの?」
「 従妹の タカくんに、いじめられるようになってから・・・・」
「 お姫様じゃないと、わかったんだ」
「そぉ、」
「 お姉ちゃんは、いつまで思ってたの?」
「 けっこう、大きくなるまでよ・・・・・
「もっと、ヘンな子だ」
「 ボクは、結婚するまで思ってましたよ、」
「 やっぱりね、いちばんヘンな子・・・」
と、妹が言った、
滅多にいないと思ってたのに、三人もいた、
アミちゃんは、小さい頃から、不思議なモノを
よく見る子だったから、多少変わってても、
そうかな、くらいだけど、
S君も・・・・しかも、ずい分大きくなるまでだ、
この、小さな空間の中に、おんなじような人間が三人もいる、
なんだか愉快!
「 ボクの家はね、面白いんですよ!」
「 なにが?」
「 電気けして寝るでしょ、すぐね、音がし出すんですよ」
「 ピシピシって、ラップ音とかでしょ、」
「 違う、ガチャガチャ」
「 なに、それ」
「 茶碗 あらう,音だと思う 」
「 え、どうして!」
「 お母ちゃんがね、去年八月に亡くなったんだけど、
洗ってるわけよ」
「・・・・・・・」
「 いや、ほんとに、朝になったら洗ってあった、
というんじゃないけど・・・・・・
洗いなさい!って言ってるわけ」
「 ハハハ、洗いなさいよ」
「 うん・・・・・・」
「 綺麗好きな、お母さんだったんだ」
「 この間なんか、湿布の匂いがしたな~、貼ってないのに、」
ちょうど、首が痛かった時で・・・、」
「 お母さん、貼りなさいって言ってたんじゃないの」
「そうだね~ きっと、 貼った?」
「 いや、そのまま寝た 」
「・・・・・・・」
「 でも不思議! 次の日は、首の痛みがとれてたもんね!」
「 貼ってくれたんだ!」
「 お母さんがね・・・・・有難いね~、親って」
「 茶碗、洗いなさいよ、」
「 そうそう、洗いなさい、」
楽しい時間は、あっという間に過ぎる
お腹も、心も満ち足りて、家路についたのは
十二時をすぎた頃、
その夜、
S君の家の、台所で、音がしたかどうか、
次に会った時は、たずねてみよう、
次の日の夜、ケイさんから電話があった、
夜の電話は、心配になる、
「 もしもし・・・・お母さん、」
「 うん、なんかあった?」
「 そうじゃないんだけど、マルちゃんがね、」
「うん、」
「 いまね、おもしろいこと言うのよ、お母さんが
教えたのかな、と思って」
「なに?」
「 ママ、マルちゃんね、いないとおもったら、いないんだよ」
…て言うのよ、ね、おかしいでしょ」
「 へぇ~、お母さん言ってない、そんな話しないよ
ちっちゃい子に、」
「 ねぇ~・・・・もうひとつ、あるの、笑うよ」
「 なに なに」
「 地球もね、ないとおもったら、ないんだよ、・・・だって」
「 ハハハ、それは可笑しい 」
地球が、わかるんでしょうか、
マルネ、4歳6か月、
たしか、今まで行ったとこで、一番遠いところは、
福岡?
九州出てないぞ、
マルちゃんにも、
話しかけてる人が、ダレか
いるのかな・・・もしかして。
つづく