約束の7時より、30分もまえに店に着く、 | すずめがチュン

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アケノさんを取りまく風景をおとどけしてます。











2014/7/10 撮影

「こんばんは、」


  「 早かったね、おばちゃん!」


   カウンターの中から、姪のアミちゃんが

  

    迎えてくれた、



 つられて 振りかえる、お客さんに、


  「 あのね、お母さんのお姉さん、」


   と言うと、



  「 あ、どうも!」と


    丁寧に頭を下げられた、


    あわてて 同じく、アタマを下げる



「 いえいえ、こちらこそ、いつも妹の店をご贔屓


  下さって、ありがとうございます、」



   ちょっと、親みたいな言い方をして、


   ・・・・おかしかったかな?と思い、


「 他に、お店もいっぱい ございましょうに・・・」


  と言ったら



   厨房の中で、ハハハと笑い声がして、


  「 他に、お店もございましょうが・・・ウチのが一番ですよ~」と


   できたての、チヂミの皿を抱えて、妹が出てきた、



  「早かったね!」


「 楽しみで、たのしみで、ついね、」


  「 だよね、」


   チヂミの皿は、さっきのお客さんの前に置かれた、


   焼きたてのチヂミの横には、


   薄い韓国のりが、添えられている、



 おいしそうだ・・・・・


   一品は、これにしよう、



 7時になり、 S君がやってきたので、


  カウンターから、坐れるところに、


   席を移してもらう、



「 S君はね、昔のまんま、ちっとも変ってないよ」 と、


  妹の言う、昔のまんまが


    話し始めて


   すぐ わかってきた、



 殆ど、初対面に近い私を相手に、


  S君は、


 知ってる事だけを話す、


  謙遜も


  知ったかぶりもしない


  大げさな言い方も、


  出し惜しみもなし、



 それでも、古神道に通じるS君の話は


  初めて聞くモノばかり、



 そんな話に、


  いちいち、「へぇ~・・・!」と、のけぞって、


 言葉もない私に、


  別に、頓着するふうでもなく、

 

 話し続けるS君、


  普通でないハナシをふつうに


    多分、性格そのままに、

 

 

 ほんとにこの人は、水色の袴を履く人なんだな、


  と思いだした、


 いや、もう履いてるような気もする、



「じつは、僕だけのの参拝の仕方があるんですよ」


  というので、教えてもらった、



「 拝殿下の正面に立って、


  二礼、二拍手、次は?」

 

  「 手を合わせて、目をつむって・・でしょ」


「 いや、目を開けて見るんです、」


 

  「 見る?、なにを」


「 正面の鏡、」


  「 鏡って、拝殿の奥にあるあの鏡?」


「 そう、それを20秒から、30秒くらい、じ~っと見つめる,」



  「後ろに・・・・ 次の人が待ってるでしょ、」


「 いいの、待っててもらえば、


  年に一度しか行かない、初詣なんかで、


   これやろうとしても、それはムリだよ」


  「 でしょうね、」



「 で、目をつむる、・・・・するとね、鏡の残像が初めは


  あるんだけど、それがだんだん変化してしていくから」


  「 え、なんに?」


「 みんな違うんだけど、光だったり、虹のようになったり、


  なんかの形に変わっていったり、」


  「 ・・・・・」



「 それが、神様にいただいた答え 」


  「 メッセージ・・・ということ?」


「 そう、それを戴いたら、また一礼して下がる、


  それで、終わり」



  「 そのやり方、ダレかに教えてもらったとか?」


「 いや、自分で考えたんだけど・・・


  いちばん、いいやり方なんじゃないかと、」


  「 そうなんですか・・・・」



 多分、ほかのダレも考えつかない、


  でも、素晴らしい方法のような気がする、


  自分もやってみたいと思うから、



   やっぱり、只者ではなかったS君、



 少し仕事の、かたづいた妹も


   やってきた、


「 ていちゃん、美味しかった~!ありがとうね、


  ていちゃんて、こんなコトする感じには、


  見えなかったけどな、」


    「じゃ、どんな感じよ、」


「 ぇ、そう言われたら・・・困るけど、」


  「あのね、やってたんだって・・・ママゴトで、」


    「そうそう、メダカつかまえてきて、」


「メダカを?」


    「メダカ、 三枚おろしに してた、」


「三枚おろし?、どうやって」


    「安全カミソリで、」


「 え、カミソリ・・・よく親が 」


    「 だから、こっそりよ、」


  「 そうそう、鏡台のひきだしの中から、こっそり


    ・・・・もっていってたらしいのよ、」


「 お姉さん、知らなかったの? 」


  「 6才、はなれてるから、あんまり一緒に


    遊んでないの、」


「そうか、ていちゃんて、あぶない子だったんだ、ハハハ」


     「 そ~んなに、特別じゃなかったと思うけど、


       ねぇ、お姉ちゃん、」


  「 そういえば、安全カミソリは、、さすがに


    なかったと思うけど、小さなナイフくらいは


    使わせてくれてたよ、あの頃の親は、」


     「うん、そうだったと思う、使ってた 」


  「だから、しょっちゅう、絆創膏はってたけどね、」


     「 そう、今も貼ってるけどさ」



話しはつきない、その夜でした、




          つづく