「うん、」
「 そのまま 宇宙に、飛び出してったとか? 」
「 ちょっと期待したけど、 そうは、上手く いかないよね、
また、人間にもどってた、
笠かむって、りんを鳴らしながら、歩いてるお坊さんに、
黒いころも着て、歩いてたよ、
リ~ン、て鳴ったとたんに、涙がでて・・・
あ~・・・、そうだった、って、自分の思い出みたいに、
なつかし~い気持ちで、一杯になって・・・ 」
「 その お坊さんて、自分だったのかな?」
「 そうだと思う・・・・、
こんなコト、してたな~って、感じたけど、へんよね、
次はね、・・・可笑しいよぉ、ゴリラ!」
「 ゴリラが見えたの ? 」
「 見えたんじゃなくて、ゴリラだったの、 私が、
なってたのよ、ゴリラに、・・・・
森の中に すわってた、
脇を チョロチョロ 小川が流れてるところで、
ひとり、じゃなかった、一匹?で、の~んびりと下向いてね、」
「 へぇ~それで、ゴリラになってる気持ちってどうなの?」
「 もうね、平和!、しあわせ~って感じなの、・・・
の~んびりしてね・・・・
あんな気持ちになったこと、ないなぁ~・・・ 」
そりゃそうだ!
せっかく ここに帰ってきても、変わらず一日 動いては、
また、せかせか帰ってゆくひとだもの、
「 ゴリラが、うらやましいとか?」
「 ちょっとね、」
「 タマには、おれみたいに、の~んびりすれば・・て事なのよ、
忙しくて、疲れて、もう・・いっぱい、いっぱいって時は、
ゴリラを思い出す、 どうよ、」
「 ははは、いいかも 、
あそうか・・・、じゃ次に見えたのも、そういう事なんだ、
真ん中が くぼんだ、大きな石があってね、
きれいな青い水が入ってるんだけど、
湧き水のようで、二杯ものんだ、 おいしかったよ!」
「うん、そういう事だろうね、
出されたモノは、食べたり、飲んだりした方がいいんだって、
私も、ニンジン食べたし、 」
「 ケイちゃんは、ハーブティ飲んだんでしょ」
「 なんか、元気がでてきた感じ、するでしょ」
「 うん、寝てはいないんだけど、めいっぱい、ぐっすり寝たって感じ、
すごくスッキリした 、」
「 うんうん、スッキリする、 でも どうしてかな、
向こうの世界のは、なんでも 美味しいのよ!
・・・・・不思議に、 」
「 ふしぎだね 」
メモは、残り 二枚になってる、
「 これは、木?」
「 そう、ご神木だと思う、
ほら、鹿児島神宮の、石段の横にある、
大きな節のある、しめ縄を張った 大楠、
あれを見上げてた!
でも、辺りは、まだ森で、お社もなんにも
なかったよ 」
「 神宮が、できる前だったとか! 」
「 そうかもね、・・・
そうか、最初は、こんな風だったんだ・・・
て思って見てたら、
今の神宮に、変わって、
巫女さんが、参道を歩くのが見えて、
お社も、あったよ 」
「 へ~ぇ、 昔の神宮と、今のを見たんだ!
スゴいじゃない、 よくお詣りしてるから ねぇ」
「 そうですよ、 皆さんの事も、ちゃ~んとね、
お願いしてますからね、
あ、そうだ! 最後は ノニさんが 出てきた 」
何故に、ノニさんが、
「 だから、ねぇ、・・・駐車場にいる ノニさんが見えたんで、
あ、今帰ってきたんだ、って思ったんだけど、
帰ってないよね・・・・」
「 まだよ、で、ノニさん 何してた?」
「 トランク 開けて、なんか探してた、
でね、ちょっと離れた所に、おじさんと、おばさんがいるのよ」
「 知ってる人?」
「 ううん、小柄で、ちょっと小太りな感じの、優しそ~なおじさん、
おばさんもね、気の好さそうな、
でね、二人して、あたしに、こっちこっちって、手招きするの」
「ダレかなぁ・・・」
「あのさ、 お母さんを、小さい頃、かわいがってくれてた、おじさんとか、
・・・・いない?」
「いない・・・と思う、 なんで、お母さんを、と思うの?」
「 なぜかな、そんな気がしたから、 クリーニング関係とか」
「 あ、今、あたしもそう感じたんだけど、 ひょっとして、
あのおじさんかなって、・・・・・クリーニングというのは、
どうして、わかった?」
「 なんとなく、そんな気がしたの、そうなの?」
「 その人しかいないのよ・・・だってね、」
小さい頃の私は、今時ちょっとお目にかかれないくらいの、
暗~い、 陰気な子でして、
幼稚園に行っても、ダレとも遊べない、
みんなの目が気になって、お弁当さえ食べない、
すみっこで、ひとり遊びしてるような子だったんです、
こんな子の、どこがいいのか、
不思議に、とっても可愛がってくれてたのが、
この おじさん、
クリーニング屋さんでした、
父の友人で、配達にくるといつもゆっくり、
お茶飲んで、遊んで帰ってましたが、
そのおじさんが・・・・どうして?
「 いちばん母さんに似てるもん 」
だから、ノニさんのガイドに?
そうだったんですか・・・、
ありがとう!
マルミヤのおじさん、
つづく