2025/06/14 東京新聞朝刊


2025年 戦後80年 「それぞれの問題意識伝える」 

 【埼玉県】パネル展「戦後80年 アジアとともに」が13日、さいたま市浦和区のJR浦和駅東口「コムナーレ」9階で始まった。市民の有志が社会のあり方を問う催しで、2015年の開始から10年、20回目の節目を迎えた。15日まで。入場無料。

 今回のテーマは「差別・分断・力の支配を許さない!」。「終わらない、ガザ・ウクライナ」「沖縄の戦後80年を考える」「クルド人へのヘイトを考える」など10の展示がある。

 パネル展実行委員会事務局の小川満さん(73)は「それぞれの問題意識を持って活動している人がいるということを幅広い世代の人に伝えたい」と話した。

 14日午後6時15分からは、ジャーナリストの森口豁(かつ)さんが手がけたドキュメンタリー「ひめゆり戦史 いま問う国家と教育」を上映。森口さんによるトークもある。資料代千円。

 15日午後2時からは、中帰連(中国帰国者連絡会)平和記念館(川越市)の事務局長の芹沢昇雄さんのミニ講演会(無料)もある。

 問い合わせは、パネル展実行委の小川さん=電090(7422)2002=へ。(足立優作)

 

2025/06/07 中日新聞朝刊 

 【長野県】阿智村の満蒙(まんもう)開拓平和記念館が、旧満州(中国東北部)に渡った開拓団体験者や遺族らから寄贈を受けた日用品などを「寄贈品展 ‘モノ’から見る満州・満蒙開拓」と銘打って展示している。29日まで。

 子どもだった引き揚げ者が帰国の際に中国人に作ってもらった靴、別の体験者が中国で使ったわらじ、青少年義勇軍として送り出されてシベリア抑留を経験した男性のゲートル(巻き脚半)や帽子といった大陸での生活をうかがわせる品のほか、旧満州にまつわる絵画、「満洲日日新聞」の看板、マッチやたばこのパッケージなどがある。

 「仕掛け絵はがき」は、はがき大に折りたたまれた紙を広げると、戦時中の世界地図の上に日章旗や、かぎ十字を中央に配した旧ドイツ国旗、イタリア国旗などがつるされて現れる仕組み。国内の山あいの商店でも扱われた製品で、当時の国威発揚の波の大きさが感じられる。

 セーターや帽子、スプーンなど、来館者が手に取ることができる寄贈品もある。三沢亜紀事務局長は「身近な品を通じて、この時代を感じてもらえれば」と話している。(近藤隆尚)
 

2025/06/07 毎日新聞/兵庫
 終戦直後、旧満州(現中国東北部)で起きた集団入水自決を生き延びた元満蒙開拓団員、山下幸雄さん(92)=豊岡市=が体験を語る「平和のつどい」が9日午後1時、姫路市増位新町2の花の北市民広場で開かれる。入場無料。

 山下さんは1944年、旧出石郡高橋村(現豊岡市但東町)から旧満州へ、国策の農業移民「大兵庫開拓団」として村民約480人と共に家族7人で移住した。しかし、旧ソ連軍の侵攻、日本の敗戦による逃避行の末、45年8月17日、追い詰められた開拓団の団員は入水し、298人が亡くなった。12歳の山下さんは家族のうち1人生き残り、約1年間の収容所生活を経て帰国。古里で戦後を生きてきた。

 つどいでは、山下さんの長男文生(ふみき)さん(65)=豊岡市=がナレーターとして満蒙開拓団の経緯や当時の国内外の状況を説明。集団入水自決や収容所での体験を語る山下さんは、2024年から医療用酸素ボンベを使っており、体調によっては文生さんが交代して語る。

 つどいを主催する兵庫平和遺族会の世話人で、元教師の岸本守さん(87)=姫路市=は、旧陸軍に召集された16歳年上の長兄が1946年3月、西部ニューギニアで戦病死した。石ころの入った長兄の納骨箱に泣き崩れた母親の姿が忘れられない。「日本がした戦争の体験者と会える機会は、もう限られている。若い方々にぜひ聞いてほしい」と話している。【浜本年弘】
〔播磨・姫路版〕

2025/06/06 中日新聞朝刊 地方版(アルプス総) 15ページ 631文字 
その他の書誌情報を表示
240KB
 【長野県】戦時中に旧満州(中国東北部)に渡った「満蒙(まんもう)開拓団」と地域の関係性に迫る講演「満蒙開拓富貴原郷開拓団~わたしたちの郷里から満蒙開拓に行った人たち」が3日、伊那市役所で開かれた。戦後80年の今年、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えようと企画された。市内の小中学校教師や市職員、市人権同和教育推進協議会から45人が参加した。(鬼頭穂高)
 毎年2回開かれている市人権同和教育研修会の一環。講師は、箕輪町郷土博物館の柴秀毅館長が務めた。柴さんは、長年にわたり町の学芸員として勤務しながら、満蒙開拓団について研究してきた。

 富貴原郷開拓団は、当時の上伊那地域北部の10町村で結成され、1942年に入植した。現地の家屋や農地を利用しながら開拓を進めていたが、敗戦で状況が一変。襲撃を受けながら命からがら逃げ延びたが、確認されている316人のうち生還したのは193人だったという。

 柴館長は「戦争は最大の人権侵害行為。絶対にしてはいけない行為」と強調した。生還した人の手記から「2度と再びこのような悲しい戦争を後世に繰り返させてはならない。平和な世界を願う」という言葉を紹介しつつ、「こうした思いを受け継いで、次の世代に引き継いでいかなければならない」と指摘した。

 講演後は、満蒙開拓団を学校教育にどのように取り入れることができるか話し合った。「歴史の教科書にもほとんど書いていない。上伊那に住む者として、自分も含めて知っていく必要がある」などの意見が出た。

 

2025/06/06 信濃毎日新聞朝刊 
 県内の7団体・個人が「フォーラム」立ち上げ 松本で来月5日初回 WSや活動報告

 県内で平和活動に取り組む若者ら7団体・個人が、平和について考える「信州の若者がつむぐ平和創造フォーラム(若造フォーラム)」を立ち上げ、7月5日に初回のフォーラムを松本市あがたの森文化会館で開く。戦争の記憶継承や、パレスチナでの人道危機、沖縄の基地問題など、さまざまな問題意識を持つ団体が集い、活動報告やワークショップを開催。団体同士のつながりを深め、活動を広げていく考えだ。

 フォーラムは松本市で戦時下に朝鮮人らの強制労働が行われた軍事工場跡を調査する「松本強制労働調査団」参加者で医師の光武鮎さん(34)が呼びかけて発足。県内被爆者の証言をまとめる市民団体「ヒバクシャの願いをつなぐプロジェクト」にも若手の知人が増えたことから、「つながりをつくることで、相互に問題意識や理解を深めることができるのでは」と考え、参加を呼びかけた。

 その後、沖縄の基地問題や歴史について考える「沖縄と私たち」、パレスチナでの人道危機に抗議し、読書会を通じて理解を深めようと活動する「本読みデモ企画」など、さまざまな観点から平和について考える団体が参加。戦争の記憶継承から現在進行形で進む問題まで、多様なテーマを持った団体が「平和のため」という同じ目標の元に集まった。

 光武さんは「別々の問題だとしても、戦争や暴力の根源を考えれば、共通した構造を持っていると思う。お互いに共通点を探ることで、それぞれの活動を深められる」と強調。本読みデモ企画の江刺里花さん(30)は「違う問題意識を持った皆で考えることで、見えてくる答えもあるはず。若者が集まり、同世代に考えてもらうきっかけにしてほしい」と話している。

 フォーラムでは松本県ケ丘高校(松本市)の生徒がカラー化した戦時中の写真展示や本読みデモ企画の読書会の他、沖縄と私たち、松本強制労働調査団がそれぞれの課題を考えるワークショップ(WS)を開催。泰阜村で満蒙開拓について平和教育に取り組む教員の木藤岡美緒さんとヒバクシャの願いをつなぐプロジェクトによる活動報告会も開かれ、これからの平和の実現方法について話し合う。

 フォーラムは継続して開催する予定で、実行委員長となった光武さんは「戦後80年や8月といった節目だけでなく、年間を通じて戦争や平和について考えるプラットフォームにしたい」と話している。

 午後2時半~午後5時まで。世代を問わず参加でき、入場無料。