私は、昼間は精神科に特化した訪問看護ステーションで
精神科訪問看護師として勤務。
看護師のお仕事がない平日夜間と土日祝は
カウンセラーとしてのお仕事を入れています。
私は、大学で看護師と保健師の資格をとり、
卒業後看護師として働くようになりましたが
精神科訪問看護に出会ったのは６年ほど前のことです。
離婚して、当時勤めていた会社に
正社員になりたいと相談したことがきっかけでした。
その時に働いていたのはお年寄りの施設。
その施設にはすでに正社員の方が十分にいるので、
同じ系列の訪問看護ステーションに異動することを勧められ、
これが
精神科訪問看護との出会いでした！
今までは病院や施設、デイサービスなどしか経験がなく
自宅にお伺いするという時点ではじめてのことだらけ！！！
くつの脱ぎ方からあいさつの仕方まで、
最初は先輩ナースをひたすらコピー
患者さんは
統合失調症、不安障害、解離性障害、双極性障害、発達障害、
などの方が多かったですが、
看護学生時代にチラッと勉強してから
まったく忘れていたので、
イチから勉強しなおしました
お薬もまったく分からへん
今どきネットでも調べられるので、
もはや患者さんのほうが詳しい
当時のステーションは、患者さんひとりに１時間の訪問をし、
休憩や空き時間も多少ありながら
１日に５〜６件の訪問をする感じでした。
ひとりの方のお話を１時間聞いて、
車での移動時間を挟んで、
また別の方の話を１時間聞く。
困りごとがあれば、
その１時間の中で一緒に取り組む。
困りごとは多岐にわたり、
家事のやり方を一緒に習得したり
市役所などの手続きを一緒にやったり
恋人へのメール返信の内容を考えたり
一人暮らしをするべきかどうか一緒に悩んだり
身体症状があるときは受診をするべきか一緒に考えたり
子どもに会えないという悩みをひたすら聞いたり
気持ちの切り替え法を一緒に探したり
孤独だと言って泣く患者さんにずっと寄り添ったり
ほんとうにさまざまなことに一緒に取り組みました。
そして、帰宅後に、
わからないことを調べて覚えて
子どももまだ小さく手がかかり、
外食したりお惣菜を買うような経済的余裕もなく
冗談ではなく寝る時間がなかった
最初は、
ほんとうにほんとうに疲れました
でも、
とにかくお給料をもらうため！！
子どもにごはん食べさせるため！！
必死で覚えることは覚え、
やるべきことをやり、
がむしゃらにやりました
あとは、
別れた夫を見返すため！！
絶対に仕事で認められてやるんだ！！
絶対に離婚前より生活水準をおとすもんか！！
という気持ちも強かった。
怒りはときに原動力になる。
そんな感じで
子どもたちを心の支えに、別れた夫を心のエンジンにして
毎日必死に仕事をこなしました。
精神科訪問看護をはじめて感じたことは、
①人の話を聞くことの難しさ
人は、話を聞くよりも、
自分の話をしたい生き物。
ちょっと気を抜くと、
自分の話をしたくなります
でも、訪問時間の１時間は、
患者さんのために使う時間。
私が自分の話をする時間は
たとえ１分でももったいない。
全部、患者さんのための時間であるべき。
今、カウンセラーとしてもお仕事をさせていただいてますが
カウンセリングも同じですよね。
②自分の色をつけずに
相槌をうつことの難しさ
私たちは、知らず知らずのうちに、
相手の話をジャッジしている！！
人間は、自分の価値観で
相手の言動を判断せずにはいられない生き物。
人の話を聞くということは、自分は透明になって、
自分のフィルターを通さずに
あたかも自分がその人であるかのように
その人の世界を感じることが必要です。
相手が自分の考える常識にあてはまらないことを言っても、
それに対して
「うわ〜〜〜
」とか
「信じられない！」とか
そういうニュアンスを相槌にのせてはダメ
相手の言ったことを自分の中に取り込んで
自分の価値観で判断しない！！
自分の表情や言葉のちょっとしたトーン、言い回しなど、
すべてに自分の色がつかないよう
統制する必要があります
今は慣れたので、
仕事モードになればスッとできますが
当時はほんとうに難しかったし
毎日かなり消耗しましたね
③症状をとって楽にしてあげることはできない。
しんどい、どうしたら楽になれますか？
と聞いてくる方はとっても多いです。
最初は、なんとかして楽になれるように力になろう！という思考回路で
患者さんと関わっていましたが、
その考え方だと必ず行き詰まります。
症状は簡単にはなくならない。
しんどさも消えない。
私なんかの力で楽にはなれない。
その状況で、どうするか？
どうやって生活していくのか？
今はこの視点が大切だと思っています。
一緒に困り、
一緒に生活の工夫を考える。
これこそ精神科訪問看護の醍醐味です
同じ病気、障害でも
患者さんによって十人十色。
患者さんよりも知識をつけなくては！と
焦って寝ずに勉強した知識はもちろん役にたっていますが
患者さんはひとりひとり違うので
自分の知識や経験をもとに決めつけるのではなく
その人から教えてもらう
という姿勢がなにより大切ですね
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