《阿麦从军》見え終えて… | 越若のひとりごと

越若のひとりごと

古典芸能「義太夫節」の太夫です。愛犬と日々思ったことの記録です。芸もあれば、ぼんやりノホホンゆるい内容です。

好きな作品で、何度も見直せるし、正座して見ていた。

想いが溢れて止まらない~。

前半は、若者の成長物語。定南侯世子商易之と韓麦穂、幾度となく危地を乗り越え友情をはぐくみ、お互い大切な相手となる。

愛とか恋とか、簡単には言い切れない、生死を共にした特別な仲なんでしょうかね。

後半は、大人となった2人の立場の違いからのすれ違いながらも思いだけが残る切ない物語。

 

視聴した方々からは、主男が酷過ぎるとか、後半の評判がすこぶる悪いので、ちと物申したい気分です。

この物語を、大人の齢を重ね孫を持つ年頃の方が見たら、主男を切なく思うはずです。

 

前半は、戦争の厳しさ。軍に入隊してから、軍と言う場所は規律を守らなければならない場所。

どんなに情状酌量すべき事があったとしても、命のやり取りをする場所故、厳格に処罰は与えねばならない。

将軍となった商易之は苦悩しながら命令を下さねばならない。愛する韓麦穂にさえ罰を与えねばならない。

命の大切さ。初陣の怖れも丁寧に描いている。一兵卒の怖れ、将軍の立場の怖れ、判断を誤り部下を殺してしまう恐怖。

戦後の悲惨さも丁寧に描いている。

 

後半は、万乗の位皇上の苦悩。自分の呼称に「孤」と言うのは、孤独な地位を表してる上に、綸言汗のごとし、一度口にした言葉は打ち消せないという責任の重い立場。

ラスボスの林相は、しょうもない皇上を支えてきたが、自分が国を経営してると思っていたが、商易之に禅譲され、それまでの権力を奪われる恐怖から、皇上になろうとする。

が、妻に息子・娘にも見放され韓麦穂の計略により阻止され獄中。王永泉、上手いし、切ない!!

ラスボスかと思った南夏皇帝は疑心暗鬼,喜怒不定。林相と組み,歯向かいそうな輩を殺し、人心に恐慌をきたしている。

宮中も、幾重にも戸が並ぶ閉塞感、逃れられない場所、孤独・誰にも理解されない苦しさ、責任の重さを表現している。

兄の太子を消し簒奪して得た地位、息子二人が自分と同じことをしようとしている恐怖。唯一孫が救い。

ついに弟が兄の太子を殺す。親として弟が皇上としての素質が無く、自分の苦悩を継がせたくなく、自分が殺した前太子の遺児商易之に禅譲すると伝える時の表情。韓麦穂に何故両親を殺したとの問いに、答える皇上のホッとしたような表情。

尹铸胜、上手すぎ!!

 

このおっさん達の演技の良さ。大人と言うものは、置かれた立場から思った通りの事が出来ない、自由と思われる皇上でさえ、敵国との外交に安易な方法で対処しては、個人としての感情に苦しむ。

良い事は良い、悪い事は悪いとも言えないのが大人。清濁併せ呑むのが大人、それが宮中。

皇上になった商易之、愛する麦穂を皇后にも出来ない、傍に置くことさえできない、かって仲間だった軍さえも仲間じゃない。政治と後宮、口を出すことさえできない。

のほほんとしていた商易之が切ない。张昊唯、育ちの良さとお坊ちゃまぶり、大人の部分と子供の部分のブレンド感が好き!

韓麦穂の自由さに悲しみながらも憧れる商易之、阻止しようとしても結局は受け入れる愛情ですかね。

男装の张天爱、りりしく美しい、《太子妃升职记》での振り切った演技を思い出します、これ代表作になるね。

アクションも乗馬もカッコよさ!!

ネットで人気の常钰青の王瑞昌。韓麦穂への真っ直ぐな愛と、意思を尊重する男気。

これって女子の憧れですね。白馬の王子様♡

 

大人の苦悩と若者の憧れと素敵な物語でした。

 

以前見た「女世子」に似てるかな。

皇帝になった恋人、皇后となるが、前皇帝による父の冤罪を公表して謝罪を求めるが、前皇帝の名誉を守るため拒否され、別れを告げて旅に出る。この男装が見事で、良かったの思い出す。

こんな事言ってたなぁ~。

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女世子おもってたより(・∀・)イイネ!! | 越若のひとりごと (ameblo.jp)

女世子見終わった~ | 越若のひとりごと (ameblo.jp)

 

ふと小説、宮城谷昌光さんの「子産」を思い出しました。子産の幼少期の鄭と同じような国がこのドラマかな~。

 

春秋時代中期に周の東、晋の南、楚の北に位置した小国、鄭の名宰相といわれた子産の生涯。

子産の幼少期は、楚に攻められれば楚に従い、普に攻められれば普に従い、コロコロ外交政策を変えて信のない国。

同盟国に出陣を促されれば、相手国を次に違う国と同盟した時の為、勝過ぎず負けない程度の戦いをする。

兵士にとって訳の分からない戦を常に強いられる苦悩。民衆に課せられた酷税。

中国初となる成文法を鼎(青銅器)に鋳込んで明確化し、税制を改革して富国政策、大国と互角で交渉できるようにした。

鄭の皇帝は宰相子産を信頼し任せたお蔭で安寧にすごせたという物語。