女世子見終わった~ | 越若のひとりごと

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古典芸能「義太夫節」の太夫です。愛犬と日々思ったことの記録です。芸もあれば、ぼんやりノホホンゆるい内容です。

1話が40分ほどで、24話で終わり。早かった。20話で、不吉な予感的中、話をまとめるのに丁寧な描写が亡くなり、事柄羅列で…。せっかくここまで良い話できたのに、残念。カットせざるを得ないのは解るけど…。最悪な終わり方でなく、主人公の心の整理が出来たら、また彼の所へ戻ってきそうな終わり方で許せるけど…。なんか、良かった💛。という終わり方が好きなんですけどね~。色々大人の事情があったんですかね。

 

見終わって、色々考えると。あまり知らない役者さんと興味のないタイプであるので、普通は見ないんだけど、主役の男装の女子が物凄いクオリティで、男子にしか見えない。ここから引き込まれて、内容も荒唐無稽でなく結構しっかりしていて、映像的にもそんな予算多くない中、安っぽくならずに良かったと思う。

〇テーマは、権力者の猜疑心により起こる悲劇。

 

〇男主は、終始一貫女主への思いを変えず言い訳を一切しない、父や陪臣・民衆を労わるポリシーも変えずに忍耐の上、最後は去った彼女がもう一度…という余韻残る所で終わるのが(・∀・)イイネ!!。太子として有望視されていた兄が早世し、母妃は兄に思いを残し悲痛から亡くなる。母に愛されていない思いが喜怒哀楽の表情を表さない孤独な陈延易第五王子として育つ。善良な政治を心掛ける。

 

 〇女主、韓十一(韓元娘)は幼少時双子の弟を刺客に殺され、男子として韓将軍家の世子として育てられる。韓家が強力な兵権を持ち、民衆に慕われ辺境にて多大な権力を持つことを恐れる皇上は、終始その兵権を削いでゆく策を撮り続ける。韓将軍は、人質として一粒種の韓十一を都へ送る。その折、朝廷の派閥に組せず中立を保つように指示して送り出す。彼女も、歴史的に見ても沢山の例がある自分もそうだとしっかり理解している。都に出て、韓十一はどこの陣営からも声をかかられないように大虚けものを装う、これがすこぶる笑わせてくれて、クルクル変わる表情に魅了される。陈延易も最初なんだこいつーと思いながら段々惹かれてゆく過程が丁寧で良い!

 

 〇国子监(将来の国の人材育成機関、学校?)の授業で、時々「史記」の中の晋の重耳の驪姫(りき)の乱の下りが出てきて、これと宮中と連動し想像できて面白い。

 

 〇韓十一がいち早く女子であることに気づく王仲钰。宰相の次男、兄が19歳で病死するが、一切政治・権力に興味を持たず、野心的父と真逆の風流人。韓十一が女であるこに気づくが、秘密を守り、彼女としがらみを離れ逍遥の旅に出るのが夢。最終回で、傷心の彼女に全てを捨てて一緒に旅に出ようと言うが、あなたとは縁がないと断られる。その思いを小説に書いて大評判、サインを求める女子の列の前で、サインをしている所が彼の最終回。優柔不断で、父の悪事にも加担せずな彼にはふさわしいかな…。

〇19話から20話にかけて、北と西の辺境に戦乱が起こる。ここで韓軍6万全滅。これが「琅琊榜」の赤焔軍並みの冤罪で、これを晴らすのにあと4話しかない、どうする?戦闘シーンは、かなりな迫力、馬もいい演技してるわぁ。悲惨な死骸が転がり、血でぬかるんだ大地、、カラスが飛び交う、とても印象的で。悲惨さが伝わる。援軍を求め得られずに帰ってきた韓十一のガラスのような瞳。残党狩りへの怒り狂い戦い挑み、髷も崩れざんばらになり血まみれな彼女が美しくも悲惨、崖落ちまで完璧!

 

×記憶を失い、女子になってからが、あまりにも乱暴な展開で、残念。第五王子の23話から24話が可哀そうすぎるので甘いシーンと笑いで21話と22話にしてるんだけどねぇ~。記憶を失った彼女に、陈延易は二人は夫婦だったと伝え新婚甘い新しい記憶を作ってゆこうとする。けど、ちょっとね、韓十一が記憶を失って、あまりにもバカになってるのが残念。陈延易もね。

 

×23話24話は、韓軍を全滅させたのは、皇上と宰相だったんですが、太子になりたい陈延易の仕業と韓十一は思う(これ謀略)。記憶を取り戻すが、憎しみに染まる韓十一。難しいですね、心底では愛しているのに、許せない。

陈延易も、父皇上が己の間違いを解りながら、冤罪を1年公表を待てと言われる。父の名誉、最低な宰相を認めた皇上と思われたくない、せめて1年待ってくれ。これを彼女に伝えろよ、世間には秘密にしても彼女には言えよ。アホか?

また、父皇上、本当に愛する妃がいても、権力のバランスを取るため好きでもない妃を娶り、愛妃に悲しい思いをさせたことを悔やんでいる。死の間際にこんなこと、愛されてない妃が聞かされて、えー、ですわぁ。

 

というわけで、良作になりそうな作品がちょと残念になった理由を色々考えました。

時間と予算の狭間でかなり頑張った作品だけに、惜しい!!

 

義太夫もね、時間の関係でカットせざる終えないことが沢山あります。本当はカットなんて出来ないくらいきちんと計算されて作られた作品なのよ。でもね、放送時間28分とか、会場の都合でどうしても1時間のを40分とか30分にする。事柄の羅列になって、ストーリーを追うだけの作品になっちゃうのよねぇ。泣く泣くカットする場合、何が一番伝えたいか、ここの見極めが難しい。

ドラマだったらシーンの美しさを取り上げて、内容どっかに行っちゃうと不味い。義太夫も美しいさわり(メロディー)にこだわりすぎると、悲惨な事になる。二つさわりがあったら、どっちか捨てる事をしないと…。捨てるの難しい。