未来に生きる子供たちへ | 越木岩神社ブログ

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兵庫県西宮市にある「越木岩神社」の日々をブログでお伝えします。

「未来に生きる子供たちへ」

 
大それたタイトルにしてしまいましたが、この時期のお話を。
 
地震・豪雨災害、猛暑・・・、科学技術の進歩は、いつの間にか私たちに畏敬の念や謙虚さ、いたわりの情を奪い取ってしまい、想像を超えた自然災害・異常気象が起こる度に、そのことを思い出させられているようです。
 
お盆休みで、当社でも祖霊祭・盆祭にご家庭にお伺いする機会があります。
お盆については、多くの方が仏教の行事と考えられているようですが、元来は日本固有の先祖祀りがもとになっています。
神道の家庭でも、お盆の期間中は自宅の祖霊舎を清めて、季節のものなどをお供えして、家族揃ってご先祖様をお祀りします。仏教でも僧侶をお招きして仏壇の前に家族揃って先祖供養を行われますが、同じように神道でも祖霊祭祀が行われています。

日本では古くから神祀りとともに、ご先祖様の御霊をお祀りする祖霊祭祀が行われており、神と祖霊の加護により平安な生活を過ごしてきました。神道では死後50年経つと神上がりと言いますが、ご先祖様は徐々に昇華して神としての御存在となります。

小さな頃に、おじいさんやおばあさん・ご両親に、「そんなことしてたら、ご先祖様に怒られるよ」「ご先祖様にバチがあたる」と言って怒られた方も多いと思いますが、ご先祖様も神様と同じように、私たちにとっては日々の生活をお守り下さる大切な存在なのです。

 

皆さんもお墓参りに行かれたり、ご先祖様の供養・祭祀を執り行われているのではないでしょうか。

 

神道では祝詞を奏上しますが、祝詞は決まった文章ではなく、その故人(お亡くなりになられた方)を振り返り、生前の姿を思い出し、そして祖霊として家族をお守りいただくことをお願いします。

 

人間は自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている

人間は決して孤立しては生きていられず、見守もられ、助け合いながらながら生きている

 

祖霊祭祀・先祖供養は、「死」と向き合うからこそ、「生」を真剣に見つめ直す契機となっているのではないでしょうか。

 

多分、お盆の時期は久しぶりに家族親族が集まり、おじいちゃんやおばあちゃんから「こんな家系なんだよ」「こんな人がいたんだよ」と昔の話を聞かされたり、近況を話し合ったりするのではないでしょうか。

 

今の子供たちは生と死に立ち合うことが少なくなっています。

このような機会だからこそ、自らの生命の尊さを知り、今に生きていることの意義を感じてもらうことが出来るのではないでしょうか。

 

私の好きな絵本をご紹介させていただきます。
「いのちのまつり」
作:草場一壽  絵:平安座資尚
発行所:サンマーク出版

コウちゃんという男の子が、ご先祖さまについておばあちゃんとお話をするものです。


おばあちゃん
「数えきれないご先祖さまが誰ひとり欠けても、ぼうやは生まれてこなかった、と言うことさぁ〜。だから、ぼうやのいのちは、ご先祖さまのいのちでもあるわけさぁ〜ね」

コウちゃん
「なんだか、ぼく、不思議な気持ちがしてきたよ」


この会話だけでも、子供は何かを感じてくれるのではないでしょうか