毎日毎日、バイト先と家の往復のような日々。
でも、世の中のほとんどの人達は、それが《普通》。

なんとなく《もの足らなさ》を感じながらも、《もの足らない》と感じる毎日こそが《無理のない暮らし》の証だから。

そんな毎日を過ごして、3ヶ月ぐらいが経っただろうか。精神的にも肉体的にも、かなり落ち着いた。

不思議な話なんだが、俺は《C型肝炎》のキャリアで、いつ発病したって不思議じゃなかった。
ところが、ある日の受診日の血液検査で、C型肝炎ウイルスが、死滅したのかどうなのか、無くなっていた。
主治医は、小脳が元に戻った時と同様に、ただただ、首をかしげていた。

こうして、心身共に良くなってくると、気持ちが《LIVEしたい》となってくる。
だけど《2年間は準備期間》と決めた以上、今は《リハビリ》だ。


ある夜、唄う夢をみた。
必死に唄うのに、お客さんに声が届かない。気がつけば、自分の声が出ていない。それでも、必死に唄う。でも、出ない。

真夜中に飛び起きた。
部屋は真っ暗。窓の外も、真っ暗。
タバコに火をつけ、缶コーヒーを買いに。

これから、どうなっていくんだろう……?
俺は、どこに向かってるんだろう……?
出てくる思いは、不安のみ……。

はたして、これも《リハビリ》なんだろうか……?

自販機の明かりに照らされ、缶コーヒーを買う。
どこからともなく、金木犀の香りが漂う。
もう、秋なんだな……。

引越してきて、もう1年か……。
また《秋》が近づいてたことさえ、気づかなかった……。

ずいぶん、遠回りをしている気分だ。
でも、決めたことだから。
今さら、泣き言を吐いたところで、何がどうなるわけでもない。
必ず《答え》は出るはず。いや、出せるはず。

《答え》は、出せるまで求めなきゃな……。
そのための《リハビリ》なんだから。



とりあえず《音楽》から、離れてみた。
《音楽から離れた》と言っても、時間があればギターを弾くし、曲が湧いてくれば、もちろん創る。
ただ、LIVEを企画したり、LIVEをやる、と言う行為から、離れてみた。その時間を、《治療に使う》ために。


《治療》と言っても、特に何かするわけじゃない。

朝起きて、バイトに行く。
帰って、白菜や玉葱、豆腐や茸類を煮た物や、ときには、魚の煮物なんかを作って食べる。
あと、夕食には必ず納豆を、朝食には、鶏のささみを1切れ、必ず食べる。

夏場には、玉葱のスライスを1玉分、鶏のささみを2切れ以上、必ず食べる。

食生活は、脳にとっても大切だ。
《精神の病》は、《心の病》と言われているが、《脳の伝達障害》とも言われている。
《規則正しい生活》をすることで、心身共に安定させることが、生きていくうえでは大事だ。

数ヶ月間、そんな暮らしを続けていた頃、以前に暮らしていた家の近所に、空き家があることを耳にした。

実は、2回目の入院後、テンジ氏にお願いして、《自宅》でレコーディングをした。その直後、俺は、家族で暮らしていた家から引越した。

少しだけ離れた町に住み、1からスタートするつもりだったからだ。
それから1年半ほど経ち、また《元住んでいた町》に引っ越すことにした。
幸い、知人の持ち家だったから、契約時の諸費用は、一切かからなかった。


独身、3度目の秋………。
引越した家のすぐ近くに、昔、中也とよく遊んだ公園がある。

あの頃、家族と暮らしていた、懐かしい町……。
あの頃と、何ひとつ変わらない、公園の風景……。
まるで、時が止まったみたいだ……。

感傷に浸ってる場合じゃない。
今の俺こそ、本当に《すべてを失った状態》だ。
だけど、やりたいことや夢だけは、何ひとつ消えていない。

《ここから》だ。
何もかも、すべては《ここから》だ。


【不良少年の唄】の、《第一部》と《第二部》を、書き終えることができた。

もちろん、自身の半生を《書き残しておきたい》と言う思いから、書き始めたわけではあるが、多くの方々に読んでいただいたことや、《勇気をもらった》や《自分も頑張る》などのコメント、Facebookにシェアしたことにより、そちらでも、様々なコメントをいただき、感謝の念に堪えない。

次回からは、いよいよ《第三部》に入る。
唄うことを諦めきれない男が、重ねる年齢とともに、考え方、生き方に対する変化や、《諦めの思い》との葛藤のなか、《前》に進んでいく姿を、思い出しながら書いていこうと思っている。

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俺の拙い《自伝小説》を、いつも読んでくれる皆さんへ。

いつもいつも、本当にありがとう。

もし、御時間があれば、1度、《プロローグ》から、読み直してみてほしい。

本当に《波乱万丈》と言うよりも《奇想天外》と言う言葉がピッタリな、《俺の半生》だから。

次回は、9月6日から《第三部》をスタートします。
どうぞ、宜しく御願い致します。

                                                          by. 法太